37歳の脱サラで「だるま造り」始めた男の仕事観

ブライダル業界経て40前にやり直しを期した

サラリーマンを捨てて新しい道に飛び込んだ男の半生をつづります(写真:yoshida1560043/iStock)
人生一度きり。定年までいまの会社にしがみついたままでいいのか。ノルマに追われ、上司と部下の人間関係に悩み、リストラにおびえるくらいなら、自分の好きなことをしたほうがいいのではないか――。
サラリーマンなら誰もが一度は抱く脱サラの夢を実現した「起業の先人」たちが語るビフォーアフターの物語を集めた『さらば! サラリーマン 脱サラ40人の成功例』(元記事は月刊誌『ウェッジ』の連載)から、ブライダル業界から高崎だるまの工房を設立した小野里治さんの脱サラストーリーを紹介しよう。

七転び八起きのサラリーマン人生から独立への道

だるま市で透明な袋に入れられ、山積みにされた赤いだるまの張りぼて。あれはどのように作られているのか。

小野里治さん(46歳、記事執筆当時)は10年前、サラリーマン生活を切り上げ、だるま造りの道に入った。群馬県達磨製造協同組合の後継者募集に応募し、8年間も修業、1年半前に群馬県太田市の生家でだるま工房「吉んと」(きちんと)を創業した。

工房を訪ね、小野里さんに話を聞いたが、工房は文字どおり「家内制手工業」の現場だった。自分が生まれ育った生家をそのまま工房に転用。玄関に入ると、床が一段高くなる。そこで靴を脱ぎ、室内に進むのが日本家屋の造りだが、ここでは靴のまま畳敷きの部屋に入る。

3室ほどある屋内には天井まで幅広の置き台が組まれ、その上に大小さまざまなだるまが自然乾燥のため並べられている。色塗り前の白いだるまもあるし、赤色で染められただけで、まだ目鼻が描かれていないだるまもある。玄関寄りが工房の製作コーナーになっていて、製作机の周りには絵筆や絵の具、塗料やバケツなどが置かれている。

机を前にしていすに座り、右手に絵筆を握って、小野里さんが絵付けをする。もちろん左手には顔面をピンク色に下塗りした、だるま像を持っている。筆の運びはパッパッと素早い。もたもたしていると、鋭い線が出ないし、絵の具が顔面を下に流れる恐れもある。そうなったら修復が利かず、オシャカにするしかない。

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