吉野家「超特盛」ヒットを生んだ陰の主役とは

P&G出身の「マーケティングプロ」が大活躍

ライザップ牛サラダ(540円)も想定通りに売り上げに貢献している。鶏肉や豆類、ブロッコリーなどを使った低糖質で高タンパクな商品で、都市部を中心に健康志向のビジネスパーソンに支持されている。

伊東氏は商品のネーミングにもこだわる。例えば、夏の定番商品である「牛皿麦とろ御膳」は、昨年までは「麦とろ牛皿御膳」の名前で販売していた。「牛皿」を前に持ってきて強調することで、コアなファンに訴求することを狙っている。また、牛肉を増量し、昨年より値段を40円引き上げて630円で販売した。

懸念材料は10月の消費増税対策

既存店売上高が好調に推移しているにもかかわらず、吉野家ホールディングスは現時点で、今通期の業績予想を上方修正していない。

その大きな理由として会社側は10月の消費増税を懸念材料に挙げる。河村泰貴社長は常々、「牛丼は日常食。お客様は10円、20円の差にシビアだ」と語る。前回消費税が引き上げられた2014年4月には、牛丼並盛を280円から300円に引き上げた。このときは半年近く、既存店客数が10%程度の大幅減となる状態が続いた。

今回は消費税率が上がるだけでなく、キャッシュレス決済による還元策も絡む。中小企業に相当するフランチャイズ店舗の場合、キャッシュレスによるポイント還元策の対象になるが、吉野家は9割以上が直営店でポイント還元の対象にならない。「ポイント還元があるかないかで、食事の選択肢から外されたくない」(河村社長)と考え、キャッシュレス決済をした顧客に対し、自社負担で2%のポイント還元に踏み切る方針だ。

第1四半期決算を好感し、株価は9日の終値1883円から1週間で2196 円へと16%以上も上昇した。しかし、真の「復活」と呼べるかどうかは、キャッシュレス対応を乗り切ることができるか、また継続的に魅力的な新商品を投入し続けることができるかがカギを握りそうだ。

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