小学校受験対策「けん玉の攻防」が映し出す本質 試行錯誤で成功も失敗も経て内面の力を磨く
子どもが国立や私立の名門小学校に入ることを目指す小学校受験。古くは1994年放送のドラマ「スウィート・ホーム」(TBS系)で描かれた小学校受験をめぐる悲喜こもごもをきっかけとして「お受験」は一般的な言葉になり、その後も小学校受験をテーマにしたドラマはいくつか作られてきました。
一方で、実際に小学校受験に挑む親子が、具体的にどんな受験対策をしているのかは一般にはあまり知られていません。『小学校受験バイブル 賢い子育てをするために』の著者、二宮未央氏がその断面を切り取ります。(本稿は宣伝会議発行の『編集会議』2018年夏号での掲載記事を基に加筆・修正しました)
最後の1人になるまでけん玉を振り続ける子どもたち
神妙な面持ちの子どもたちがぞろぞろと入っていく。母親たちは皆が紺色のスーツを身にまとい、そわそわと落ち着かない様子で後に続いた。殺風景な一室はしんと静まり返り緊張感が漂っている。きれいに整列した子どもたちの手には、けん玉がぎゅっと握りしめられていた。
笛の合図が部屋中に鳴り響く。その瞬間20人の表情はキュッと引き締まり、けん玉を振り上げた。玉がストンと乗った者もいれば、宙ぶらりんの玉を揺らしている者もいる。玉が乗らなかった6人の子どもたちは、その場に座って体育座りをする。
2017年夏。とある区民センターで行われた「けん玉コンテスト」。これは、ある小学校受験のための個人教室が開催したものだ。玉が落ちた者は座り成功した者だけが立ち続け、最後の1人になるまでけん玉を振り続ける、生き残りをかけた戦いだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら