300万人男余りでも女性が婚活で苦労する背景 未婚男女の結婚意欲に埋められない大きな溝

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対象を50代まで拡大したうえで、「結婚したい人口」と年収400万円以上の条件を加味して再計算した結果が以下の表です。女余りは解消できたでしょうか?

残念ながら、結論から言うとできませんでした。女余り数は20~34歳と比べて、むしろ増加して約192万人に膨れ上がってしまいます。年齢層を50代まで拡大したことで、対象相手の男性人口も増えますが、同時に、当然女性側のライバルも増えます。

何よりつらいのは、希望年収条件です。50代まで拡大したとしても、全国で400万円以上の年収のある未婚男性はたったの27%にすぎません。それだけでも44%の女性があぶれます。400万円以上の相手を希望すること自体、無理なのです。

希望年収を300万円台にすると

ちなみに、年収条件をもう100万円落として、300万円台にすると、対象者は50%まで広がります。事実、就業構造基本調査によれば、アラサーで結婚している男性の4人に1人は年収300万円台です。そこがメインボリューム層なのです。希望年収については、300万円台あたりに落として妥協しないと、どうにもならないのが現実です。

さらに、追い打ちをかけるようですが、たとえ300万円台に条件を下げたとしても158万人の女余りであることに変わりません。もう八方ふさがりです。結婚したい男女が集う婚活の現場で、希望にかなう相手を見つけようと思っても、基本的には女性が余るという構造は変えられません。

ただし、この計算の中には、結婚意欲のない残り半分の未婚男性が除外されています。年収条件を度外視すれば、20~34歳で結婚意欲のない未婚男性は、364万人もいます。この中には、今現在は学生であったり、働いていても収入が少なかったりする男性も含まれます。が、今はそうでも、将来性のある人もいるでしょう。

これまで説明してきたように、結婚したいという男性の中から希望の相手を見つけるのは、極めて厳しい戦いが予想されます。あえて、そこでは勝負せず、ブルーオーシャン戦略を取るほうが賢明かもしれません。

思えば、皆婚が実現できていたのは、お節介なお見合いおばさんや強引な職場の上司など、誰かの後押しがあったからこそ実現できたものです。そうした時代に戻ることはありませんが、この連載で何度も説明しているとおり、しょせん7割の男は恋愛や結婚に関しては受け身です。待っていたらどうにもなりません。

どうしても結婚したいと強く願う未婚女性は、「今は結婚なんて別にしたいと思わないなあ」という結婚意欲の薄い未婚男性にターゲットを絞って、彼らをどうやったら動かせるかの「お膳立て」を考えるほうが得策なのかもしれません。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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