『攻殻機動隊』が子供番組に進出、版権ビジネスを狙う

逆に、いかにヒット作を生み出しても、版権を持たないかぎり利益の分配にはありつけない。IGの場合、『攻殻機動隊』で名声を上げたものの、IGが得た収入は制作費のみ。版権を獲得していなかったので、世界中でいくらビデオやDVDが売れようが、一銭も入ってこないのだ。

オリジナルなら妙味倍増 『プリキュア』の成功例

収益機会の拡大については、IGも少しずつ地歩を築いてはきた。『新世紀エヴァンゲリオン』では制作への関与は低いながら、プロジェクトに出資し、番組終了後13年経った今なお利益分配を得ている。その額は出資額の何十倍にもなるという。『イノセンス』や『スカイ・クロラ』では二次利用権(アジア以外での海外販売権など)を手中にした。

ただし、マンガなどの原作付きアニメの場合、アニメ制作会社が得られる版権には限りがある。原作者や出版社がハリウッドでの映画化権といった主要な版権をガッチリ押さえているケースが多いためだ。それなら、自社で原作から作り、すべての版権を握ってしまうのが、手っ取り早い手段である。そこでIGが繰り出したのが『ケータイ』なのだ。

このモデルには先行事例がある。東アニ制作の女児向けアニメ『プリキュア』シリーズだ。(シリーズの原作者「東堂いずみ」は架空の人物で、東アニの本社所在地である東京・大泉に由来)。キャラクター商品を販売するバンダイでは、2008年3月期の『プリキュア』関連売上高が100億円。そして東アニも、『プリキュア』の版権収入で10億円を稼ぐ。

ちなみに、『プリキュア』シリーズでは、番組中で主人公が使用するアイテムをかたどった玩具がよく売れる。そのせいか、当初2人だった主人公はシリーズを追うごとに人数が増え、最近終了したシリーズでは主人公の人数は6人に上った。2月1日にキャラクターを一新して始まった新シリーズ『フレッシュプリキュア! 』では当初主人公は3人だが、今後4人、5人と増えるかもしれない。つまり、原作から確保することで、“品ぞろえ”を自らの意思で増やしていくことが可能になる。

あえてアニメでなく実写「これがIGのエッジ」

この『プリキュア』シリーズの玩具の企画・開発を担当しているのは企画会社のウィズ。横井昭裕社長は『たまごっち』の生みの親として業界では知らぬ者のない存在だ。その横井社長が、『ケータイ』では玩具の企画だけでなく、共同原作者としても名を連ねている。

「おもちゃを作る側から見れば、おもちゃを売るためだけにアニメを作るというのはどうかと思っていた。続けているうちに、だんだん似たようなパターンになってしまう」というのが横井社長のひそかな悩みだった。今回IGと組むことで、「そのパターンを抜け出して、新しいものをぶち上げたかった」と言う。玩具の企画開発では素人のIGとしても、ウィズに参画してもらうことで、東アニが50年かけて生み出した『プリキュア』のビジネスモデルを、一発でものにしたことになる。

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