そうして大洲さんは、日立を退職。双子が誕生してからは、怒濤のごとく、子育てに追われる毎日が始まった。
双子の子育ては、よく、「エンドレスかと思う授乳」「2人同時の発熱」「2倍で散らかるものを、片づける膨大な手間」など、その苦労は筆舌につくしがたいといわれる。大洲さんもまさに、そんな「パニックの連続」に直面。あまりの手の回らなさに、週の半分は親御さんに育児の手助けを求めたほどだと言う。
「一説によると、人間は寝ないと記憶が定着しないそうですね。この頃は平均2時間睡眠だったので、ほとんど記憶がないんですよ(笑)」
不眠不休に加え、大洲さんを襲ったのが、強烈な焦りや不安、孤独感だった。
「妊娠中から将来に対する焦りに駆られて、生涯学習財団認定コーチというコーチングの資格を取りにいったほどです。出産後も、これから私はどうしたらいいのだろうと考えては悩んでいましたね」
双子のお子さんが生後7カ月のころ、会社員時代に取得していた国際イメージコンサルタントの資格の更新のため、ご主人に赤ちゃんを託して、アメリカに渡航したこともあるそうだ。
「当時は、将来的には、広報部での経験とイメージコンサルタントとコーチングの資格を生かして、個人のクライアントの外見と内面のブラッシュアップをお手伝いするコンサルティングビジネスができないか、なんて考えていました」
でも、そのアイデアもいざ実行まで考えるとシックリとこない。「働くお母さんの支援をする」という現在の活動の方向性が決まるまでの2年間は、つらい手探りの日々だったと振り返る。
だが、逆にその苦悩こそが、日本ワーキングママ協会を立ち上げる、強い動機になった。
「日本ではなぜ、妊娠・出産により仕事をあきらめなくてはいけない女性が多いのか。そう悩んでいた頃、『結婚しても必ずしも子どもを持つ必要がない』と考える20代の女性が6割に上ったという内閣府の統計を見て、衝撃を受けました。子どもを持つことにネガティブなイメージを持つ人が多いのは、子育てと仕事の両立が大変そうで、自分にはできないと考える人が多いからではないかと思ったのです」
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