両立困難で大企業を退職。そのとき母は? 強烈な焦り、孤独感…そして再起へ

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図らずも、大洲さんの周囲には、社会で活躍するママ友達がたくさんいた。

「彼女たちの両立の仕方、毎日の生活のリアルが世に伝われば、20代の女性の意識も変わるし、ワーキングマザーたちの心の支えになるのではとも思いました。そこで、ワーキングマザーのリアリティを伝えるサイトを作りたいと思ったのです」

貯金をつぎこんで、ママサイト立ち上げへ

そのサイトこそ、現在もワーキングマザーたちに絶大な信頼を誇る「キラきゃりママ」だ。

知り合いのWeb会社にサイト構築を依頼し、どのようなサイトにするか、綿密に打ち合わせ、立ち上がるまでにおよそ1年の歳月をかけた。

サイト構築費は、大洲さんの会社員時代の貯金をつぎ込んだ。また、サイトの信頼性を上げるため、2011年2月のオープンとほぼ同時に、会社を設立。サイトの運営をしながら、大洲さんは「ママと子どもに関する会社のPRコンサル業」を始めた。クライアントは、知人の紹介や、自ら営業をして獲得していったというからたくましい。

さらに驚くのが、大洲さんはサイト立ち上げとほぼ同時期に、第3子を出産したということだ。

「2歳半の双子の子育てに、サイトの構築、PRの仕事、そして出産と何足ものわらじを履いての生活は確かに大変でしたが、働くママの次世代の育成を推進したいという意思のほうが勝りましたね」

「キラきゃりママ」は、ワーキングマザー待望のサイトだったのだろう。SEOなどの仕掛けをせずとも、閲覧率はうなぎ上りで、あっという間に人気サイトに成長した。

だが、ほどなくして、「バーチャルな発信の限界も感じた」と言う。

「サイトを通じて、自分の将来について悩むママたちがいかに多いかがわかりました。また、ママたちが、自分と同じような悩みや不安を共有する場を求めていることも実感しました。だったらオフ会などで交流イベントをやろうかとも思いましたが、ちょうどそのとき、私は企業の人事部やダイバーシティ推進室に、ワーキングマザー活用についてのヒアリングを進めていました。すると、先に言ったように、企業がママ社員に求めることと、実際のママ社員の認識があまりに乖離している。それならば、その両者をつなげる学びの場を作ろうと思ったのです」

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