「負債の部」を見ると、「短期借入金」が20億円ほど、銀行とのお付き合い程度にあるだけで、そのほかの有利子負債はありません。一方、「資産の部」にある「現金及び預金」を見ますと、320億円も持っているわけですから、借入金を返そうと思えばすぐに返せる状態です。ドトールは抜群の財務内容を持つ会社なのです。
次に、損益計算書(同6ページ)から収益性を見ていきましょう。2013年3月から8月の半期分です。「売上高」は前年同期の549億円から580億円まで増加しています。「売上原価」も224億円から233億円まで増えていますが、「営業利益」は39億円から49億円まで伸びています。
どれだけ効率的に利益を出しているかを示す「売上高営業利益率(営業利益÷売上高)」を計算しますと、8.6%と非常に高い水準です。前期は7.2%です。比較的、効率的に稼げるいいビジネスだと言えますね。
このように2013年3~8月の業績を見る限り、同社の売上高、営業利益は伸びていますから、コンビニのコーヒー参入の影響は、この時点ではまだ出ていないと言えます。ただ、コーヒーの需要は秋から冬にかけて高まることから、通年の決算にも注目が必要です。
キャッシュフロー計算書(同8ページ)も見ていきます。「営業活動によるキャッシュフロー」は約59億円稼いでいます。さらに、売上高からどれほど効率的にキャッシュフローを稼いでいるかを示す「キャッシュフローマージン(営業活動によるキャッシュフロー÷売上高)」を計算しますと10.3%と高い水準です。ここからも、効率よく稼いでいることがわかります。
もうひとつ注目すべき点があります。「営業活動によるキャッシュフロー」のうち、資産の目減り分を示す「減価償却費」が17億円計上されています。一方、「投資キャッシュフロー」のうち「有形固定資産の取得による支出」は、22億円出ています。絶対額としては、どちらもそれほど大きいわけではありませんが、減価償却費を超える再投資をしているということが読み取れるのです。つまり、ドトールは積極的に店舗を増やそうとしているということです。
以上のことを考えますと、ドトールの業績は今のところ、かなり好調だと言えます。
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