あの聖地「タワレコ」に、女子も吸い寄せられる 「足」を運び、撮影、群れて盛り上がれる場所

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写真撮影も目的のひとつだ。タワレコでは新譜リリースに合わせて、パネル展などを開催することも多い。フロアには、アーティストの直筆サイン色紙や巨大ボードなども多数展示されており、K-POPファンにとって、ちょっとした記念館。加えてファン同士の交流も活発に行われている。SNSを通じ、同じアーティストのファンに呼びかけ、渋谷店に集合するケースもあるという。CD購入後は特典を交換し合う光景も見られる。

渋谷店で10年以上に渡ってK-POPを担当する販促専任部長の吉田淳氏はこう語る。

「ブームが下火になるタイミングもあったが、プッシュし続けることが大事だと思い、やってきた。今では韓流ファンが集まって交流する聖地として有名になっている。そのおかげでアーティストサイドから声をかけてもらうことも増えてきた。韓流ファンは非常に知識があり詳しい。応援してもらいながらフロアを運営しているイメージだ」

仕入れは店舗ごと、熱量高いバイヤー

言うまでもなく、国内のCD市場は長期低落傾向にある。日本レコード協会によると、2018年のCD生産金額は1542億円で、2017年の1707億円から減少した。が、タワレコもさぞ苦戦しているかと思いきや、2018年度の売上高は前年比4.7%増の555億円。これは2010年度の売上高548億円とほぼ変わらない。逆風の中でタワレコがシェアを上げ、客を呼び寄せているのはなぜなのか。

まず徹底したファン目線のスタッフの存在だ。タワレコの仕入れは基本的に店舗ごとに行われている。各店のバイヤーが権限を持ち、「これを売りたい」という商品を積極的にプッシュしていく形である。そのため店舗ごとの品ぞろえは大きく異なる。リテール事業本部・本部長を務める高橋聡志取締役は、「流行しているものではなく、自分たちが売りたいもので市場を作る、という考え方でやってきた。店舗に集まってくれるファンを応援していくスタンスだ」と語る。

各店のバイヤーの熱は非常に高い。「アーティストをプッシュしたい」という思いがあまりに強く、時に突き抜けてしまうこともある。その代表例が名古屋市緑区にある大高店だ。

同店が猛プッシュするのは、2016年に解散したアイドルグループのSMAP。CDはもちろん、パネルやイラスト、メンバーの衣裳、うちわなどのさまざまなグッズを展示し、売り場をアピールしてきた。SMAP担当者の強烈な愛は、SNSを通じて多くのファンに伝染し、今では全国からファンが訪れるSMAPの聖地となっている。「2019年もSMAPと共に生きる」とPOPで宣言しており、この7月も「草彅剛45回目誕生祭」を展開。グループが解散しても、全力でSMAPを推す姿勢はみじんも揺るがないようだ。

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