レクサスのデザインはここまで徹底している

部外者立ち入り禁止の「聖域」で神髄を見た

先のLCのドアもおそらくクラフテッドの一例だろう。見た目は滑らかなカーブが印象に残るぐらいだが、それもレクサスデザインの狙い。「純」(シンプル)をベースにしながら、「純度」を高めていく。それによってレクサスでないと体験できない美を生んでいくそうだ。

デザインセンターでは「LS」の内装のプレゼンテーションも多かった。読者でも知っている方はいるかもしれないが、LSは内装の品質に凝っている。例えばシート表皮を縫い合わせたステッチ。通常の「5ミリピッチ縫製」より目の細かい「3.5ミリピッチ縫製」を採用している。

「3.5ミリピッチ縫製」では、縫製スピードが30パーセント遅くなり、塗ったラインをまっすぐに通すのも難しくなるそう。しかし、表皮のシワやズレを防ぎ、きめ細かいシルキーな質感を生むためには、見た目とともに、これが重要と判断したのだと説明される。

顧客にもデザインや技術をきちんと伝える徹底ぶり

専門職人と共同開発したドアトリムオーナメントの切子(きりこ)調カットガラス、手作業で折り紙を折るように形作るドアトリムのハンドプリーツなども、LSを特徴づけている。製作に時間がかかるため、限られた数しか供給できないそうだが、それでも構わない、という姿勢で「いいもの」を供給していくという。

私にとって面白いのは、これらをきちんと顧客に伝えていこうというレクサスの姿勢だ。「お客さまから(上記のこだわりの数々を)アートピースとして認めていただき、オーナーとゲストがクルマ談義とともに交わす文化論のきっかけともなれば」(レクサス)というだけあって、販売店ではレクサス車の成り立ちを説明できる専門家を配置していくのだそうだ。

さまざまな要素が興味深いので、説明を受けたものを羅列していくと、まるでPRのようになってしまったのではと、一抹の不安もある。だが、自動車のデザインセンターを訪問しても、どうしても“葦の髄から天井を覗く”ということわざどおり、ごく一部しか見られない。レクサスが、それ以上に視野を広げてくれたのは事実なのだ。

デザインとはいかに広い範囲をカバーし、かつ奥行きの深い概念であるか。レクサス・デザインセンターを訪れてそれがよくわかった気がする。デザインではやはり強いこだわりを感じさせるマツダなど、他社も訪れてみたいと思った。

(文:小川フミオ/ライフスタイルジャーナリスト)

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