アジア狙う謎の日本ブランド「ユビソオ」の正体 パクリのパクリ?がマレーシアで急拡大

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公式ホームページも日本語をメインに使い、日本的なイメージを演出している。ところが、その日本語が怪しく突っ込みどころが満載だ。

「ュビンオいっも私の親友」「私達は雇っていま」といった具合。前者はカタカナの小文字と大文字や、ソとンを誤った表記らしく、「ユビソオはいつも私の親友」と言いたいようだ。後者は単純な字抜け。「商品のパッケージに記載されている日本語もかなり怪しいが、徐々に改善されている」と、クアラルンプール在住者は話す。

ユビソオのホームページ

同社のウェブサイトでは当初、ドメインに「jp」を使用したり、創業者として「佐藤久」という謎の日本人の写真を掲載したりして、日本発の企業として消費者に売り込んでいた。今でもネット上には、「ユビソオ・ジャパン」や「東京拠点のユビソオ」といった表現が残っている。ただ、最近では、ホームページや宣伝で日本を示すような表現を外すなどの対策を取っているようだ。

「2013年に短期滞在目的のビザ免除措置が取られ、マレーシア人の訪日旅行客は増えており、日本のイメージは極めて高い。日本語、とくにひらがなが商品に記載されているとイメージがよくなり、購買行動につながる可能性がある」と、マレーシアのビジネス事情に詳しいジェトロ・クアラルンプール事務所の担当者は話す。

ユビソオに電話してみた!

ユビソオとはどんな企業なのか。公式ホームページには、本社所在地や経営陣についての情報は記載されていない。「事務所兼倉庫」とされる電話番号に何度かかけたところ、通じないことがほとんどだったが、あるとき、従業員とみられる女性が応答した。

ユビソオは日本の企業なのかと質問したところ、「デザインは日本で行い、生産は中国で行っている」と回答した。経営者はマレーシア人なのかとの問いには、「ここは倉庫なので詳細はわからない。詳しいことは電子メールで照会してください」とのこと。メールで同社の日本との関係や経営者について問い合わせたが、回答はなかった。

ユビソオで購入した商品のパッケージに記載されている東京港区六本木の住所を調べると、司法書士・行政書士事務所であることが判明。電話したところ、応対した職員は「以前にも(ユビソオの関連で)電話が掛かってきたため、(ユビソオ側に)変えるよう依頼したのだが。最近のことですか」と困惑していた。

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