NYダウの上値のメドはどれくらいなのか? 日本株の上昇を決めるのは結局アメリカ市場
今挙げた2つの期待材料とも米長期金利の動向が深く関わっていることから、やはり今後の最大の注目材料は7月30・31日の米FOMC(連邦公開市場委員会)となりそうだ。FOMC開催前のマーケットは、5日発表の雇用統計など重要な米経済指標で景気動向を、さらに中旬から始まる米主要企業によって、一喜一憂する展開が予想される。ただ、いずれにしても当面は円高一服とアメリカの株高が両立しやすいとみている。すでに年内2~3回分の利下げが織り込まれつつある状況では、実際に利下げが行われた場合でもインパクトは乏しく、それだけで一段の円高を誘発するとは考えづらいからだ。
では逆に利下げが見送られた場合はどうか。その場合は短期的にはネガティブな影響がありそうだが、「好景気と株高の状況下で予防的利下げカードが温存された」との理解も得られやすい。その場合は円高が進まず、利下げ期待だけを残す相場展開も想定される。
すでにトランプ大統領は選挙戦モード
筆者としては、なによりドナルド・トランプ大統領が2020年の米大統領選での勝利を意識し始めた重要性を踏まえておきたい。米中首脳会談での中国の情報通信機器最大手ファーウェイに対する禁輸措置の一部解除への言及や、電撃的な板門店での米朝首脳会談に臨んだ背景には、大統領選挙に向けた支持拡大があると推察される。
特に米中貿易摩擦については、ここまでアメリカ側が一方的に押しているように見えても、トランプ大統領の任期を考えれば、長期戦では中国側に有利だ。短期決戦で一気に決着したい中での敢えての譲歩は、まずは次の任期をがっちり確保するための政権運営に舵を切ったと思われる。それなら株価に配慮した施策が実現する可能性も高い。
さて、当面の日経平均株価だが、米中貿易摩擦への懸念を深める前の年初来高値水準である2万2362円を試す場面があるとみている。7月1日の日銀短観は先行きに不安を残す内容だったが、少なくとも当面は商品投資顧問(CTA)の買い戻しが優勢になりそうだ。
もっとも2万2000円へ接近する場面では戻り売りから上値が重くなる公算も大きい。ここからは待機資金を誘発する支援材料も欲しいところだ。7月中旬には米企業決算、7月下旬から国内企業決算が本格化する。待機資金が本格的に動き出すタイミングは、下期のガイダンスを見極めてからとなりそうだが、上昇トレンドの維持を確認するためには、年初来高値である2万2362円の更新は「マスト」である。
物色テーマからは、半導体関連銘柄の上昇トレンドへの転換の可能性に注目したい。牽引役のパワー半導体関連だけでなく、ここに来て製造装置も含めた広義の半導体関連株のトレンドが良化しつつある。この業界の重要指標であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も、13週移動平均線近辺まで戻っており、日経平均を押し上げる効果の大きいテーマだけに注目したいところだ。また、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)関連銘柄ではフィードフォース(7068)のIPO(新規株式公開)を5日に控えている。同社株の値動き次第では、テーマとしての人気が再燃する可能性がある。同テーマは値動きの活発な銘柄が多く引き続き注目だ。
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