アジアを旅する人に襲いかかる伝染病の魔の手 予防接種を受けておかないと危険な病気に
海外渡航前は必要に応じてワクチン接種を
もうすぐ夏休み。各種統計から見ると、7月下旬から8月いっぱいまでの期間に海外旅行に出かける日本人は、ここ数年は250万人を超えており、読者の皆さんの中にも夏休み中の海外旅行を計画している人は少なくないだろう。
一方で海外には日本ではほとんど体験しない感染症が蔓延している地域がある。厚生労働省や米疾病対策センター(CDC)はさまざまなワクチンの接種を推奨している。
東アジア・東南アジアの場合、A型肝炎と腸チフスワクチンを強く推奨、日本脳炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風が国や流行状況により接種したほうがいいとされている。専門家と相談し、必要と判断されれば接種されることをお勧めしたい。
私は2016年4月から、ナビタスクリニック新宿で毎週月曜日に内科外来を担当している。
このクリニックでの診療を通じて、自らのワクチンに関する知識が不足していることを実感した。ワクチンは世界中で開発が進み、新製品が次々と発売されているのに、キャッチアップできていなかった。
ワクチンの開発が進んだのは、世界の情勢が変わったからだ。温暖化が進み、熱帯や亜熱帯の風土病だった感染症の流行地域が拡大した。2014年に70年ぶりに国内で感染者が確認されたデング熱など、その典型だ。
デング熱は、元々はアフリカの風土病だったが、奴隷貿易によって熱帯から亜熱帯に拡散された。2014年には中国でも大流行し、4万7331人の感染者が確認された。2013年の10倍、2012年の80倍だ。大部分が広東省、とくに広州市で発症していた。
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