トランプ大統領の敵は中国でもイランでもない 米中貿易戦争やイラン攻撃の裏にある「真実」

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最後に、アメリカ内の政治戦争と対外戦争の関係を象徴する逸話として、1941年の真珠湾奇襲後のルーズベルト政権内の対立を紹介しよう。

2次大戦時もルーズベルト大統領は選挙を意識していた

真珠湾攻撃を受け、アメリカは日本に宣戦布告した。ルーズベルト政権で

はスタッフが日本本土への攻撃を準備しようとしたところ、大統領は、「日本攻撃は後回し、まずはドイツを叩く」と主張した。一部のスタッフは反対したという。だが大統領は譲らなかった。

しぶしぶスタッフがドイツ上陸を検討すると、大統領は、今度はいきなりドイツには上陸せず、まずはアフリカ戦線に行くと言い出した。これにもスタッフは反対したという。だが決めるのは大統領だ。

結果的にそうすることになったわけだが、この決断の背景には、フランクリン・ルーズベルト大統領(民主党)が、ウィンストン・チャーチル英首相との事前の話で、ドイツの攻撃を受けている英国をまず救うと約束していたことがある。

ただし、翌年1942年秋に中間選挙を控え、屈強のドイツ兵にいきなり挑んで悪い戦況のニュースを流すわけにはいかないので、まずドイツよりは弱いイタリア兵が守るアフリカへ上陸し、(事前に英軍がイタリア軍を叩く)そこからイタリアを通ってドイツ本国へ入る作戦をたてることで、ちょうど選挙の時期にはアフリカやイタリアから朗報が入ることを計算してのことだったという。

後から振り返れば、戦況はその通りになった。だが、中間選挙までに海上兵站が間に合わず、朗報は中間選挙前に届かなかった。結果、ルーズベルト大統領は中間選挙で敗北した(その後、1944年の大統領選で勝利(4選)するものの、1945年4月に期半ばで死去)。 

アメリカが覇権国家である限り、世界情勢に影響を与えるのはアメリカの内戦である。その逆は、今の中国の国力でもまだ無理だと思う。

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

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たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

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