トランプ大統領の敵は中国でもイランでもない

米中貿易戦争やイラン攻撃の裏にある「真実」

南米ベネズエラのマドゥロ政権転覆を画策したものの、それが失敗すると、返す刀でイランへの圧力が急速に高まった。そして、すぐさまペルシャ湾にはB52が派遣された。このB52にはボーイング社が2012年に開発に成功した最新鋭の電磁波ミサイルのCHAMPが搭載されている可能があるという(注:CHAMP:Counter-electronics High Power Microwave Advanced Missile Project。アメリカ空軍はすでに20発のCHAMPミサイルが発射可能の状態でどこかで展開されていることを公式に表明している)

また、この頃、順調だった米中貿易協議で突然中国側の態度が変わった。対抗処置としてトランプ大統領は再び関税を持ち出し、株は下がった。結果、直近のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFEDは声明文から政策金利の判断において「patient」(辛抱強くなる)の文言を取り去った。

これで7月以降に金融政策が変更される可能性が高まった。市場はほぼ100%の利下げを織り込んでいるが、個人的には時期尚早だと思う。現在世界の中央銀行は連携して「もし」事態が悪化すれば「断固としてアクト」(躊躇なく行動する)と強調している。だが、言い換えれば事態が悪化しなければ「アクト」はしないともいえる。FOMCの結果、市場は好感しているが、本当に利下げが始まるためには、利下げを先走ったことが裏目に出て、マーケットが下落することが必要だろう。もしG20で米中会談が好転すれば、利下げがなくなる可能性もある。

トランプ大統領の真の敵とは?

いずれにしても、これらの国内外の一連の動きは、2020年の大統領選がスタートしたことと無関係ではない。そこで、改めてこのコラムで一貫して主張していることを確認すると、「トランプ大統領の真の敵は中国でもイランでもなく、彼の再選を阻む全ての勢力が真の敵」ということである。

もしその延長線上で、中央銀行のFEDが足を引っ張ると感じたら、ジェローム・パウエルFRB議長もトランプ大統領には敵になる。トランプ大統領の弾劾を諦めない民衆党勢力もさることながら、間違っても共和党内部から反逆者を出さないためには、トランプ大統領は、今は共和党内のディープステート(内部に潜んでいる、政権に従わない勢力)とも妥協する必要がある。

その妥協が始まったのは、民主党のジョー・バイデン氏の優勢が伝わった5月だった。この頃、中国は結局アメリカと妥協しない覚悟を決めたのではないか。つまり、たとえここで中国が米中貿易協議で態度を変え、トランプ大統領個人と妥協し、彼の再選を援護しても、再選後のトランプ大統領が中国への融和策を取るとは限らない(個人的には真逆を予想)。またトランプ大統領が再選されなくとも、バイデン氏が次の大統領なら、それはそれでやはり中長期的に中国の利益にならないと考えたからだろう。

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