グーグルは「家」を賢くできるのか? グーグルのネスト買収とスマートホームの難しさ

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そもそも、サーモスタットって?

ネストは「学習するサーモスタット」というタグラインが付けられている。そもそも「サーモスタット」とはなんだろう。筆者は31年間東京で暮らしていて、2011年にカリフォルニア州バークレーに引っ越してきたが、そもそも東京での生活で家の中にこうしたサーモスタットは見かけなかった。

筆者が米国で住んでいるアパートにもサーモスタットは装着されているが、その役割について知ったのは引っ越してからしばらくしてからだった。「使い方がよくわからない壁についているデバイス」として疑問を持っていたが、その役割がわからず放っておいたのである。冬場冷え込んできて、大家からあると言われていた暖房設備のスイッチを探している中で、もしやコイツなのではないか?と気づいて、初めてその存在を知った。

サーモスタットは暖房をコントロールするための道具だ。室温センサーと温度設定ができるシンプルな仕組みで、設定温度になるまで暖房で温め続け、温度に到達したら電源が落ちる。また温度が下がってきたら暖房の電源が入り、室温を一定に保つことができる。日本での生活ではエアコンのリモコンしか操作したことがなかったこともあり、なじみがなかった。

おそらく床暖房が設置されている家のリモコンは、似たような機能を有している。もしエアコンのリモコンと仮定して考えれば、どのメーカーのエアコンにも利用できるリモコンをネストが作ったというイメージだろうか。エアコンごとに機能や省電力化の方法が違い、ネストが目指す機能性を発揮できるとは思えないが。

スマートホームの難しさ

ネストは、初めから持ち家やアパートに取り付けられている床暖房のコントローラーを自分で交換することが想定されている。作り付けの暖房設備のリモコンを自分の好みで変えられることや、そもそもサーモスタットという存在そのものが、そのまま日本で出荷されても利用できるとは考えにくい。

ここに、スマートホームの難しさが垣間見られる。すなわち、その国や地域の習慣、長年使われてきた設備や家電に大きく左右される分野なのだ。この点は、スマートフォンとはまったく異なる。

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