グーグルは「家」を賢くできるのか? グーグルのネスト買収とスマートホームの難しさ

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 本連載は、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンに関するトピックをひとつないし複数採り上げながら、米国・シリコンバレーを中心とするIT事情を定点観測的にお伝えしていく。今回はグーグルを採り上げる。グーグルがスマートホームを実現するスタートアップ企業ネスト(Nest Labs)を32億ドルで買収したと報じられた。シリコンバレーではあまり好意的な反応ではない。
グーグルが買収したネストのサーモスタット。家に住んでいる人の行動パターンなどを学習する優れものだ(写真:Bloomberg)

今回のテーマは、スマートホームやInternet of Thingsという新しい分野についてだ。グーグルはあらゆるものを検索可能にし、さらにGoogle Glassをリリースして「身に付けるインターネット」の世界にもリーチしている。また、筆者が住んでいるカリフォルニア州バークレーの街でも、時折、見かける自動運転の自動車も作り出した。

インターネットや派生する技術で可能なすべてを試しているグーグルが、今回のネストを買収することに、さほど大きな驚きはない。ネストは、住んでいる人の行動パターンや、設置されている家の気象情報、部屋の室温上昇・低下の傾向を学習するサーモスタットだ。学習が進むことで、およそ30%の光熱費を削減することができる。

2011年11月に発表された同製品は、中央にディスプレーがある円形デバイスで、外周のダイヤルの回転とクリックで操作する、iPodのようなデザインと操作性が話題となったデバイスだった。

アップルからネストを横取りした?

「iPodのような」というキーワードは、デザインと操作性だけではない。ネストを創業したのは、アップルに務めていた2人。共同創業者のひとりトニー・ファデル氏は2001年から2009年までアップルに在籍し、iPod開発チームを率いていたといわれる人物。誘った相手、マット・ロジャース氏はiPod・iPhone・iTunesなどのソフトウエア開発に携わっていた。

アップル由来の創業者とプロダクトであったことから、シリコンバレーではグーグルによる買収に違和感を覚える人が少なくなかったのは確かだ。

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