もしかしたらあなたの生活は貧しく、狭くなっていくかも
以上をまとめますと、あなたが現状を打開したいのなら、その現状がいかに理不尽であっても、相応の努力をしなければなりません。そして、ある程度の犠牲(2重扉設置の費用、はなはだ労力と時間がかかることなど)を払わねばなりません。そして、あなたは忍耐力を持って長期戦に臨まねばならない。
その際、注意しておくと、あなたがいくら努力しても状況は一向に改善しない場合(きわめてありうることです)、あなたは精神の危機状態に陥るかもしれない、ということです。あなたは、近所の「野蛮な」人々を殺したくなるほど憎むようになる。そればかりか、人間一般に対する不信の念を募らせる。そしてすべての音に身構え、すべての音が怖くなる。あなたの心はますます狭く貧しくなっていくのです。
こうなってはなりません。こうなる前に手を打たねばなりません。そうならないための最後のアドバイスは、必要以上に「まじめに」取り組まないこと。しょせん、バカな住民とバカな私とのバカな戦いなのだ、という「遊び心」を忘れずにいてもらいたい。難しいとは思いますが、戦いを「楽しんで」もらいたい。何しろ、これを通じてすばらしく面白い人間模様を見ることができるのですから。
私の場合、長い戦いを通じて、もともと粗悪であった私の性格がますます劣化していくにつれ、このすべてを研究材料にすること、特にすべてを「書く」材料として利用するということで、廃人になる前にどうにかバランスを保てました。そうでなければ、今頃、ちょっとした犯罪に手を染めて刑務所にいたかもしれません。でも、1000人を超えるバカな人々との対話、いや、(怒鳴り合いやつかみ合いを含む)戦いを通じて、私は「人間とは何か」を学んできました。これは、すばらしい副産物であって、たとえ日本の町が静かにならなくてもあきらめられるのは、そのマイナスを凌駕するほどのプラスの贈り物、すなわち、「私と感受性のまったく異なったとても面白い人々との出会い」という、すばらしい贈り物を受けたからです。
今回の参考図書としては名著(?)の『うるさい日本の私』(日経ビジネス人文庫)とその姉妹編『日本人を〈半分〉降りる』(ちくま文庫)を挙げておきます。
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