バカな人々と戦って「人間とは何か」を学べ! 『うるさい日本の私』の中島流騒音対策法

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そして、こうした防衛策を講じながら、第2に、市役所などに必ずある「騒音対策課」のようなところに行って相談する。近隣騒音はすでに公認のテーマですから、はなはだしい場合は、何らかの策を打ち出してくれるかもしれません。また、それに加えて「無料法律相談所」を訪ねる。そこには専門の弁護士がいますので、法律的に何らかの解決ができるか相談してみること。法的訴えを起こすことは難しいでしょうが(あなたも望まないでしょうが)、何らかのアドバイスをもらえるかもしれません。

そして、第3に(これは人によってはなかなか勇気がないかもしれませんが)、あなたの属する地域の自治会の会合に何度か出席してみて、全体の雰囲気をよくつかんだうえで、あなたの抱えている問題を提起することが可能かどうかを探ること。そして、手応えがあれば、あなたご自身が自治会の役員に立候補して(普通、役員の成り手はないものです)、自ら問題を提起できればいちばんいいのではないかと思います。 

その場合、提起の「仕方」にも十分、考慮する必要があります。「何しろ“私”がうるさい」というやり方は大体ダメです。というのは「うるさい」と感じない人、「うるさくてもいい」という人、「うるさい」けど我慢すべきだ、という人が大部分だから。そうではなく、日本人的心情に訴える。たとえば「近所には病人も、夜勤で昼間寝ている人も、必死に受験勉強をしている人も……すなわち静寂を必要としている人も少なくないのだから……」というように。そして、「直ちに完全な静寂を実現してほしい」というのもダメで、「音を出すのは、場所(たとえば家屋の近くではない所)を限ってほしい」というように条件を出す。

このことはとても重要であり、あなたが地域の住民から憎まれるようにならないことが、何より大切です。私の仲間にも、じっと我慢してきたが、ついに耐え難くて「立ちあがった」ところ、子どもがいじめられるようになった、誰もあいさつもしなくなった、という人が少なくないのです。

あなたは叫びたいほど苦しい。しかし、特にこの国では、「みんな」が苦しいことはすぐにでも対処すべきなのに、みんなが「なんともないこと」に対して、ひとりだけ苦情を言う人は、激しく憎まれます(こういう人を、私は「善人」と呼びたい)。彼らは、あなたがそんなに苦しんでいるのに、「わがまま」だと言って裁くのです。彼らは子どもが遊んで大声を出すのは当たり前だと思い、公の通りなんだから大声で立ち話をしてなぜ悪いと思っていますので、絶対に話が通じない。いつの間にかあなたは被害者ではなく、「共同体を乱す」加害者に仕立て上げられてしまうのです。 

そして第4ですが(私はこれを最も勧めたい)、あなたが地域の人々と隔絶して生きているのでないかぎり、必ずあなたと同様な苦しみにあえいでいる仲間がいるはずです。そういう人をこまめに見つけて、お互いに連絡を取り合い、毎週でも「勉強会」をすること。そうした人が10人でも集まれば、いろいろ知恵が出てくるはずです。ご近所で病気療養中の人や夜勤の人を見つけて、仲間になってもらうのもいいでしょう。特に、子どもの声に限れば、近くの小学校や中学校を訪れて苦情を訴えるのもいい手です。学校は地域住民の声を比較的よく聞いてくれます(10人がそろっていけば、それなりの効果はあるでしょう)。

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