旭硝子・トステムが団結、省エネ「窓」産業の夜明け
歴史的な“和解”だった--。4月15日、ガラスとアルミサッシの国内最大手同士、旭硝子とトステムが手を携え、新しい合弁ビジネスを立ち上げると発表した。
ターゲットはズバリ、「窓」そのもの。ガラスとサッシは窓の構成要素として欠かせないが、これまでの両者の関係は「近くて遠い存在だった」(潮田洋一郎・トステム会長)。両者の疎遠の背景には、流通の陣取りをめぐる遺恨の歴史があった。
大ヒット映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で描かれた東京タワー建設中の昭和30年代、日本の住宅の窓枠は大半が木製で、窓は町の建具店が作っていた。この時代、ガラスメーカーは特約店、販売・工事店を傘下に収めて、「窓産業」のトップに君臨していた。
高度成長とともに、窓枠がアルミに替わる過程で台頭したのが、トステムの前身であるトーヨーサッシだった。同社は、ガラスメーカーが築いた特約店・販売店の流通網に食い込む形で成長していったのだ。
ガラスメーカーの営業経験者は指摘する。「ガラスよりアルミサッシのほうが金額が張り、利幅も大きい。特約店や販売店がサッシメーカーになびくのはやむをえない」。ガラスメーカーとしては、「ひさしを貸して母屋を取られた」悔しさがあったことは想像に難くない。
そんな過去の因縁を乗り越え、今回、旭硝子とトステムは窓合弁事業の道を選択することになった。両社は、窓の開発、機能ガラス、窓の組み立てという三つの事業に関して、年内にも合弁会社を設立する方針だ。