旭硝子・トステムが団結、省エネ「窓」産業の夜明け
「百年に一度のチャンス」 住宅エコポイントで活気
この制度は自動車、家電に次ぐ、第三のエコポイントとして、2009年度第2次補正予算で創設された。地球温暖化対策と景気回復の両方を目的にした、住宅省エネ化のための助成措置である。
住宅エコポイントは新築住宅も対象にするが、ガラス、サッシ業界が照準を合わせているのは窓の省エネ(断熱)化リフォームだ。現在はサッシとガラス別々の省エネ性能表示で、窓全体の表示はないが、石村和彦・旭硝子社長は「合弁事業により窓全体の性能表示が可能となる」と強調する。
リフォームは、10年1月1日から同12月31日までに着工した住宅で、10年1月28日以降に工事が完了したものが助成の対象。戸建て、集合住宅ともに適用される。住宅1戸当たり最大30万ポイントがもらえ、ポイントを別のリフォーム工事に即時交換することもできる。「国が窓リフォームの宣伝をしてくれる。ありがたい話」(藤井文徳・トステム住宅サッシ統括部部長)。
その住宅エコポイントの規模は1000億円。予算がなくなれば期間中でも助成処置は終了するが、「1000億円という金額は大きい。工事に換算すると1兆円規模になる。使い切れない心配もある」(トステム)など、寄せる期待は大きい。
対象となるリフォーム工事は2種類。窓もしくは外壁・屋根・天井・床の省エネ改修である。だが、いま住宅エコポイントで盛り上がっているのは、もっぱら窓を生産するガラス、サッシ業界のほうだ。
既存住宅に断熱材を入れたり、省エネ建材に交換するには大掛かりな工事が必要で、期間も費用もかかる。このため、「断熱材、建材業界は、住宅エコポイント制度の恩恵を受けることをあきらめているように見える」という声が聞こえてくる。
一方、窓の省エネ化は工事期間が短いうえに、工事費用に対してポイントの割合が高いことから恩恵を受けやすい。「内窓売り上げは前年同期比5倍」(トステム)、「ガラス交換の額は前年比2倍」(旭硝子)など、各社とも出足は好調のようだ。