アメリカで激しくなっている「中国排除」の実態 教育機関や留学生まで「標的」に
少し前まで、必ずしも中国全面否定というわけではなかったアメリカ。中国経済の急成長はアメリカの経済的不安を軽減させてきたし、アメリカの世界中での繁栄をより促してきた。実際のアメリカ世論には、対中好感度や信頼度は低くとも、少なからず付き合っていかなくてはならないとの考え方もある。
ところが、中国レジームがさらに攻撃的になり、経済分野や5Gなど新技術で世界の主導権を握りたいという姿勢を示しており、こうした中、民主・共和両党の考え方が対立してきたアメリカは、こと中国に対しては、共通の認識を持ちつつある。オバマ前政権までの政策綱領では、対中政策に関し、民主党が「協調」、共和党は「強硬」という姿勢を打ち出したとされるが、最近では民主党は、米中貿易戦争について中国に安易に妥協しないようトランプ政権に圧力をかけているともいわれるほどだ。
日本も「選択」を迫られる
こうした情勢に鑑みれば、中国にとって孔子学院を始めとするアメリカでの教育関連の活動が、これまで以上にやりにくくなると考えられる。アメリカ政府や、その関係機関から資金援助を得ることも困難になるだろう。
それでも中国が自ら撤退するとは考えにくい。中国のシャープパワーは、中国の国家戦略である「中国製造2025」と深く関わっているからだ。この戦略目標達成のために、中国は、日本やアメリカにおける親中派の育成など、自国の国益に資するためには手段を選ばないだろう。
中国は、国内向けに反米世論工作に努めているとも言われており、中国共産党の機関紙「人民日報」や国営新華社通信、さらに中国中央テレビ(CCTV)を中心に反米報道を行い、「抗米」をテーマとした過去の戦争映画を連日放送しているという。
今までのPDの手法がシャープパワーとしてアメリカから排除されるならば、違う手法で働きかけてくる可能性も考えられる。中国共産党、あるいは中国政府の関与がよりわかりづらい形でアプローチしたり、ネット上での世論形成を強化したりするかもしれない。
中国はつねにバランスを取ろうとする。米中関係が悪化すれば、中国は日本にすり寄ってくる。アメリカからの圧力が強まるほど、アメリカ陣営と中国の対立という事態を防ぐべく、中国はアメリカの同盟国である日本に働きかけを強め、日米離反を促そうとするのだ。日本は、アメリカの意図をくみ取りながら、中国といかにして付き合っていくべきか。その選択を迫られる日は遠くないだろう。
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