アメリカで激しくなっている「中国排除」の実態 教育機関や留学生まで「標的」に

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しかし、2014年に入ると風向きが変わった。孔子学院の教育内容をめぐって、思想宣伝や政治宣伝を懸念する声が出始め、「中国政府の政治宣伝機関だ」とか、「学問の自由に反する」などといった批判が広まった。アメリカ大学教授協会(AAUP)なども大学側に、状況に応じては孔子学院との契約打ち切りを促すようになった。

こうした中、いよいよアメリカでは、中国共産党によるスパイ活動容疑で孔子学院が連邦捜査局(FBI)の捜査対象になるという事態にまで発展。前述の「国防権限法2019」には、孔子学院を設立する大学への資金支援の停止を求める条項も盛り込まれており、アメリカの法律もが、孔子学院を名指しで批判したのだ。

設置した大学にも「資金援助」

そもそも中国は、なぜアメリカの教育分野でここまで幅広く活動できたのか。それは、先述のように、孔子学院が中国政府から資金を得ているからにほかならない。2013年の中国語メディアの報道によれば、2004年から2013年の間に、中国政府は孔子学院の事業に5億ドルの資金を投じている。別の中国語メディアは、2015年に中国共産党が孔子学院に支出した予算は3.1億ドルで、2004年から2017年までの間に総額20億ドル以上がつぎ込まれたと報じている。

ちなみに、孔子学院を1校設置するには、10万ドル以上かかるとも、運営費は毎年20万ドル超とも言われている。また、孔子学院を設置した大学は、中国政府の運営機関から、毎年10万〜15万ドルもの助成金を受け取ることができるとされる。

運営機関は、中国教育部(日本の文部科学省にあたる)傘下の「国家漢語国際推進指導小組弁公室」(漢弁)である。漢弁は、中国政府の機関であるが、その背後で意思決定するのは中国共産党指導部である。例えば、2018年1月23日に、中国共産党中央全面深化改革指導小組が、『孔子学院の改革発展に関する指導的意見』などの文書を会議で通過させ、「特色ある大国外交」の担い手として「孔子学院建設強化」を打ち出したのは、その明確な表れである。

さらにさかのぼれば、2014年末、孔子学院総本部の理事長は、イギリスのBBCのインタビューに対し、「孔子学院は、中国共産党の価値観を外国に輸出するために存在する」と公言している。こうした発言などを受けて、アメリカが孔子学院の活動に懸念を示すのは当然ともいえるだろう。

アメリカの教育分野における中国締め出しは、孔子学院にとどまらない。中国共産党と関係の深い非営利団体「中米交流基金」が、ジョンズ・ホプキンズ大高等国際関係大学院(SAIS)やテキサス大学などに資金提供をしていたことが明らかになり、批判の対象となっている。

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