ファーウェイが「米禁輸措置」で迎える正念場 取引を続けるか否か、判断迫られる日本企業
アメリカのトランプ大統領は現地時間の5月15日、自国の安全保障に脅威をもたらしうる外国企業の通信機器使用を禁じる大統領令に署名した。大統領令は対象企業名を明らかにしていないが、複数の現地報道によると、米商務省が同日、中国の通信機器最大手のファーウェイを輸出管理規則に基づく禁輸措置対象のリストに入れたという。
現時点で公開されている禁輸措置対象リストにファーウェイは入っていない。今後、報道通りにリスト指定を受けた場合、ファーウェイの経営は甚大な影響を被る見通しだ。輸出管理規則に基づく禁輸措置は、アメリカ企業に対してだけでなく、日本や欧州などの海外企業に対しても、ファーウェイへの製品販売や技術供与を制限する力を持つからだ。
アメリカとしては、今回の禁輸措置によって日本を含む世界各国に対し、「ファーウェイとアメリカ市場のどちらを選ぶのか」と意思表明を迫る形になる。海外から重要部品や技術を購入できなくなれば、ファーウェイは製品生産やサービス提供の停止にも追い込まれかねない。
禁輸は人工知能など先端技術も対象に
この輸出管理規則は、軍事用・民生用双方で利用可能な「デュアルユース品目」と呼ばれる製品・技術を管理することが目的だ。リストに掲載された相手に管理品目を輸出する場合は、アメリカ政府の許可を得なければならない。基本的に許可が出ることはなく、実態として禁輸措置といえる運用がされている。アメリカ政府は今後、従来のデュアルユース品目に加えて、人工知能のような先端技術も幅広くリストの対象とすることを検討している。
輸出管理規則は、アメリカからの直接輸出だけでなく、日本など海外諸国を利用した迂回輸出も厳密に抑止する仕組みとなっている。例えば、海外企業がリスト掲載相手に対し、アメリカから輸入した対象品目を再輸出したり、アメリカ由来の対象技術を使って海外で製造したものを輸出した場合、その海外企業は「ディナイド・パーソン・リスト」(取引禁止顧客名簿)に掲載され、アメリカでの商取引が禁じられる。その結果、アメリカのビジネス市場から事実上、締め出されることになる。
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