ファーウェイが「米禁輸措置」で迎える正念場

取引を続けるか否か、判断迫られる日本企業

輸出管理規則は本来、アメリカ国内のローカルルールだ。これが日本など海外企業の行動を制約することは、国際法の観点からみて問題がある。だが日本企業はこれまで、現実的な対応として輸出管理規則に従ってきた。アメリカ市場から締め出されることは、多くの企業にとって存続に直結する重大問題だからだ。相応の大口顧客であったとしても、アメリカ市場を手放してまでビジネスを継続したい取引相手など、基本的にはないだろう。

ファーウェイは今や世界の通信技術を先導する企業で、研究開発投資は世界トップ5に入る。ただ、すべての部品・技術を内製化しているわけではなく、例えばファーウェイのハイエンドスマホ「Mate 20 Pro」の場合、金額ベースの約6割(メーカー不明品を除外して計算)が海外メーカー製品だ。この中にはソニー、東芝、AGC(旭硝子)、村田製作所、TDKといった日本企業の製品が含まれている。

日本から年7200億円の部品・部材を調達

部品・材料調達の観点で、ファーウェイにとって日本は重要な拠点だ。ファーウェイが2018年に日本企業から購入した部品・部材の総額は約7200億円。日本の対中輸出額の4%超に相当する額だ。前述の企業以外にも、パナソニック、住友電気工業、日本電産、ジャパンディスプレイといった企業がファーウェイの主力サプライヤーだ。スマホだけでなく、ファーウェイの主力ビジネスである通信インフラ設備や、拡大中の大型コンピュータ(サーバー)にも日本の部品が多数組み込まれている。

もしアメリカの禁輸措置が発動すれば、これら日本企業は自社製品に禁輸対象となるアメリカ由来の製品・技術が含まれていないかを徹底して調べた上で、ファーウェイとの取引を続けるか否か、判断しなければならない。厄介なことに、ハイテク部品の多くは技術特許が複雑に絡み合ってできているため、禁輸対象ではないという「証明」は容易ではない。

アメリカの動きを受け、ファーウェイは16日の声明の中で「最終的にはアメリカの企業や消費者の利益を阻害することになる」と主張している。同日の東京株式市場も、電子部品メーカーなどの株が売られ、日経平均株価は前日を割り込んでいる。

ここまでファーウェイは日本企業にとって大口顧客だったが、アメリカの徹底した制裁姿勢によって、リスク要因に反転しつつある。日本は米中対立を対岸の火事と見くびらず、「我が事」として事態の推移に敏感になる必要がある。

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