日本は「家族の限界」をどうやって打破するのか

個人、共働き、専業主婦家庭…それぞれの壁

現代では当たり前となった「共働き」。専業主婦前提の社会で、これから求められる制度や働き方とは?(写真:筆者撮影)
東洋経済オンラインでの連載「育休世代VS.専業主婦前提社会」に大幅加筆した書籍、『なぜ共働きも専業もしんどいのか~主婦がいないと回らない構造』が発刊された。これに合わせて、本著の中で書籍や論文の引用をさせてもらった有識者らにインタビューをしに行った。
第1弾は著書に『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』などがある立命館大学産業社会学部の筒井淳也教授。前編では家事の外注について聞いたが、後編では社会全体の設計や新たな働き方について伺った。

「共働き前提」のカベ

中野:私が東洋経済オンラインで連載していたタイトルが「育休世代VS.専業主婦前提社会」。日本の社会制度をもっと共働き前提にしていかないといけないというスタンスで書き続けていたのですが、筒井先生の『結婚と家族のこれから』の副題には「共働き社会の限界」とあります。

共働き前提にしてしまうことの問題点として、高所得同士の夫婦とそうでない世帯という風に世帯間の所得格差が広がること、家庭が仕事場と化してしまうこと、ジェンダー家族(男と女が一緒になるタイプの家族)を望まない人たち(単身世帯、事実婚、シングル親世帯、同性カップルなど)がないがしろになってしまう可能性などを挙げられています。

筒井:今は専業主婦前提の制度が多いですが、これから増えていく共働きはまた1つの標準になるとは思います。ひとり親の所得が非常に高ければ(家事代行サービスなどを)市場ですべて調達して、ということもできますが、傾向としてはそうなっておらず、実際には利用できる人の多くは共働き夫婦です。保育の枠組みのように、家事代行などもシングルペアレンツが活用しやすくするように補助金を出すなどで補っていく方法はあるかもしれません。

中野:専業主婦前提でも共働き前提でもなく、個々人に対してセーフティネットをはっていくということは可能でしょうか。

筒井:一人暮らしでも元気なうちはコンビニなどにも行けますが、高齢になっていったとき、障害をかかえる人など、やはり人は誰かに依存しないと生きていけないときがあるわけです。依存といってもいろいろあって、中でも深刻なのか身体的な依存、つまり要介護な状態であることと、経済的な依存です。

しかし、福祉制度が発達した北欧社会でも、多くの場合、支援は家族がいることが前提になっています。つまりプライマリーケアワーカー(主たる介護者)に対する支援になっていて、それが得られない場合にはじめて直接支援という形をとっています。

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