「スマートウォッチ」が暴いた31歳妻殺害の真相 記憶失った被告とアリバイなき夫の法廷対決
バーチ:性行為をした後の記憶がない……。憶えているのは地面の上で目を覚ましたことです。
弁護人:その間のことはまったく覚えていないんですね?
バーチ:はい、覚えていません。なにか叩かれたような感覚があったので、目覚めて誰かが車の後ろに横たわっているのを見ました。
弁護人:正確には何を見たんですか?
バーチ:その辺りをよく見たら、ニコールが横たわっていました。顔や口が血だらけでした。動いているようには見えませんでした。
ニコールが血だらけで倒れていた……。慌てたバーチの後ろに人影が――。
バーチ:フードをかぶった人が私の後ろに立っていました。顔はよく見えませんでしたが、銃を持っていたのが見えました。私が憶えているのは、男が「おまえのせいでこうなったんだ」と言ったことです。この言葉ははっきりと憶えています。
男の指示でニコールの遺体を車に詰め込み、バーチは運転席に、そして男は後部座席に――。
弁護人:その男の顔を見るチャンスはありましたか?
バーチ:ミラーを見たときにかなりはっきりと見たと思います。
弁護人:その時点では、それが誰なのかわかりましたか?
バーチ:いいえ、見たことのない人でした。
弁護人:今ならそれが誰かわかりますか?
バーチ:はい、わかります。ディトリです。
それはニコールの内縁の夫ディトリだった……。
内縁の夫ディトリが証言台に…アリバイは?
あの日、ニコールが帰宅しないまま眠りについたディトリは、翌朝午前6時に赤ちゃんの泣き声で目が覚めた。ニコールはまだ帰っていなかったが、心配するほどでもないと思い再び眠りに落ちた。そして午前11時に起きたが、ニコールの姿はなく、さらに携帯もつながらなかった。しかし、ディトリが警察に通報したのは午後4時過ぎだった。
なぜ通報が遅かったのか? バーチの弁護人から追及された。
弁護人:あなたは通報する必要がないと知っていたのではないですか?
ディトリ:どういう意味かよくわかりません。心配していました。ただ夜遅くまで出かけていて、そのままどこかで寝ているんだろうと思ったんです。私と同じように二日酔いで疲れているのだろうとも思いました。
ニコールの死亡推定時刻は午前3時過ぎ。ディトリの証言によれば午前2時過ぎに帰宅し、赤ちゃんの泣き声で目が覚める午前6時まで寝ていたことになる。だがそれを証明することはできるのか?
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