「スマートウォッチ」が暴いた31歳妻殺害の真相 記憶失った被告とアリバイなき夫の法廷対決
実はディトリは最新の腕時計を身につけて寝ていた。それは移動距離・歩数などを記録してくれるスマートウォッチ。
データ分析の専門家が法廷に呼ばれ、犯行時刻のディトリのデータが証拠として提示された。
その結果、ディトリが犯行時間に動いていた歩数は12歩。それは赤ちゃんをあやす程度しかできない歩数だった。つまり彼は家から出ていない、殺害はおろか遺体遺棄などできるはずもなかったのだ。
結果、ディトリは罪に問われることはなく、バーチに終身刑が下された。
印象論の怖さと最新技術
被告バーチの証言は、都合のいい部分だけ記憶がないなど無理があると感じる人も多いだろう。だが陪審員は、バーチ被告の証言を聞いて「夫ディトリが怪しい」とにらんだという。アクションをつけるなど、表情豊かに証言するバーチという男は策士だった。もしディトリがスマートウォッチを身につけずに寝ていたら、バーチは無罪を勝ち取った可能性があったと言われている。
恐ろしいことである。だが、人が人を裁くということは間違いもある。私たちも裁判員制度によって裁判員となり裁く立場になりうる……。だからバーチ被告の証言、そして番組で放送するその表情に注目してほしい。あなたは彼のウソを見破れるか?
ディトリの潔白は最新テクノロジーによって証明された。だが、そもそも愛する妻を失った発端はショートメールでのケンカ。お互いが顔を見ずに好き勝手に言いたい放題ケンカをしてしまう怖さが、この事件を引き起こした要因にもなっている。
私たちと最新技術との付き合い方、現代の犯罪捜査のあり方などが浮き彫りになった事件だった。
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