「スマートウォッチ」が暴いた31歳妻殺害の真相 記憶失った被告とアリバイなき夫の法廷対決
そして夜になり、今度はディトリが警察に呼ばれた。警察から告げられたのはニコールの遺体が見つかったという最悪の知らせだった。
ディトリは泣き崩れた……。警察の調べによると、自宅前の道路から血痕が発見され、遺体は全裸の状態で自宅から約5キロ離れた雑木林で発見された。その道中に無造作にニコールの衣服が捨てられていた。
事件から2日後、警察はディトリをニコール殺害容疑で逮捕した。深夜になって帰宅したニコールとディトリは家でもケンカとなり、怒りが爆発したディトリが殴ったうえ首を絞め殺害し、遺体を遺棄したと見られた。
だが、ディトリは証拠不十分で不起訴に……。捜査は暗礁に乗り上げた。
事件発生から4カ月後、警察はニコールと一緒に飲んでいたジョージ・バーチという男を第一級殺人容疑で逮捕した。この男の携帯電話の位置情報から、事件当日にニコールの自宅付近、さらには遺体遺棄現場付近にいたことが判明した。ニコールと一緒に酒を飲んでいたバーチは、肉体関係を迫ったが拒絶されたため殺害したと警察はにらんだ。
法廷で被告が証言台に…「真犯人は内縁の夫だ!」
去年2月に始まった裁判。終身刑を求刑する検察側に対し、弁護側は無罪を主張。
弁護側はバーチ被告本人に証言させる戦術をとった。被告自らが証人になるケースは多くない。検察の追及などにボロを出したり、感情的になって陪審員の心証を悪くするケースが多いからだ。以下バーチの証言である。
バーチ:ニコールは1人で立っていました。誰かと一緒にいるようには見えなかったので私から話しかけました。
2人はバーで意気投合し酒を酌み交わしたという。そしてバーチは車でニコールの家まで送ったという。家の前まで着くと――。
バーチ:車の座席でしばらく話をしました。
弁護人:それからどうしましたか?
バーチ :体を寄せ合って……キスをしました。
その後、2人は車内で肉体関係を持ったという。
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