「プリクラ」を女子高生がスマホ時代に撮る理由 業界最大手のフリューが今も生き残った背景

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しかし、プリ文化の主役である高校生人口の減少に対する危機感は大きい。競合倒産による売り上げへの影響はほとんどないというが、プリ文化の存続を実質的にフリュー1社が担うことになった。

5月下旬、決算説明会でのフリューの三嶋隆社長(記者撮影)

「製品ごとの特徴を打ち出し、1人当たりプレイ回数を増やすことで客単価をあげる取り組みを2018年度から実施してきた。

今後は、プリ機からの卒業年齢を1歳でも遅らせたい」とフリューの三嶋隆社長は話す。

高校卒業と同時に急減していたユーザー層の拡大は業界存続のための課題でもある。

プリを撮る文化は今後どうなるか

ユーザー層拡大には、プリから卒業した20代以上の女性がターゲットになる。

大学卒業を前に何度もプリを撮ったという20代前半の女性は、その理由を「女子高生とか若い子の遊びの中で最も体験しやすいから」と話す。20代以上の女性が手軽に若者文化を楽しみたいというニーズに対応できれば、需要も掘り起こせるだろう。

6月から投入している新機種の「AROUND20」。外装の巨大スクリーンが特徴。操作性やデザインをシンプルで大人っぽくすることで、20代がプリを撮るのにハードルを下げる意図がある(記者撮影)

フリューが業界首位に躍り出た約10年前は競合各社がおり、イノベーションが生まれやすい業界環境だった。

フリューの1強となった現在、外部環境が悪化する中でプリ文化を存続させることは決して簡単ではない。

インスタ映えするような新機種を発売するほか、直営店も展開しているフリューだが、市場を維持・拡大させるためには、女子高生よりも購買力があるプリ卒業生を呼び込むための起爆剤が必要になる。

最新のトレンドを追い続ける女子高生たちから生み出される新たな遊び方に応えつつ、年齢層拡大を模索するフリューに「プリを撮る文化」の存続がかかっている。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。報道部、『会社四季報』編集部を経て、現在は会社四季報オンライン編集部。食品業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、ドローン、医療機器など。趣味は東洋武術。

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