就活セクハラが根本的には防ぎきれない理由 ごく少数の異常犯罪者は社会に混ざっている

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犯罪にまで発展することもありえる話に企業側が打つ手は?(写真:mits / PIXTA)

実は就活セクハラ多発!? 企業側も頭を悩ませている

今年2月、大手企業の社員が就活生に対する強制わいせつの疑いで逮捕されたことが明るみに出ました。就活で内定をもらえる最終段階まで来ていた女性をリクルーターの男性社員が、就活の不安につけこんでホテルに連れ込み性行為に及んだという事件です。

この事件がもう1つ注目を浴びたのは、入社後にこのことを告発した女性社員に対して、人事部長が後にセカンドレイプだと形容されるような性的質問を交えたヒアリングを行っていた音声テープが公開された点です。被害者の女性がそのときの会社の対応を振り返って「やっぱり会社に相談しなくてよかったと改めて思っています」とメディアに語ったことが印象的な事件でした。

5月29日、企業にパワハラやセクハラ防止措置を義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法案が国会で成立しましたが、就活セクハラは現実には多く発生していて、良心ある企業の側もその対応に頭を悩ませています。

数カ月前にある大企業の役員とプライベートに夕食をご一緒させていただいた際に、ちょうどこの就活セクハラ事件が話題になりました。そして会社が行っている対策がどこまでこういった犯罪防止に効果があるものか、かなり深い議論をすることになりました。この会社のセクハラ対策はかなり進んでいて、先日成立した法案の内容も先取りしているのですが、それでも対策に限界があるという不安を企業は抱えているのです。

この時の議論が多くの大企業が共通に悩む問題点を含んでいるということで、この人物の了承を得て今回記事にまとめさせていただくことになりました。

さて、一足飛びに対策の話をするのではなく、まず先に日本労働組合総連合会が発表したわが国の就活セクハラの実情の数字を見てから具体的な話に入ることにしましょう。アンケート調査結果を見ると実際に就職活動中にセクハラを受けたという被害者はやはり一定数存在しています。この調査では被害を受けた人の比率は20代女性で12.5%、30代女性では15.5%に上ります。

次ページその被害の内容はというと…
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