27歳で起業し失敗→転職した男性が学んだこと 起業したからこそ今の自分がある
freeeでは小原氏をはじめ元起業家が多く働いている。CEOの佐々木大輔氏は、「起業経験者が多くいるほうが強い組織になる」と話す。「起業すると、失敗しても誰のせいにもできない。風呂敷を広げた以上、責任をもって畳まないといけない。そういう緊張感のもとで何かに取り組んだ経験があると、『このアクションにはどういう意味があるのか』『人を動かすとはどういうことか』などと、あらゆる場面で深い洞察ができるようになる。それが起業経験者の強みでは」。
だが、同じ失敗をしても、その経験を生かせる人と生かせない人がいる。その差について佐々木氏は、「失敗を楽しめるかどうか。言い換えるなら、好奇心の違いではないか」と分析する。「失敗するということは、考えるための材料が増えること。『もっとこうしたら世の中がよくなるのでは』『こうしたら人はどう感じるのか』などと自分で考えることができれば、人として進化できると思います」。
長期的には、変化に弱い組織を作りあげてしまう考え方
自身も起業家であり、多くの元起業家を率いる佐々木氏から見ると、日本企業は「失敗する人に対してというより、(組織に)長期的にコミットメントしない人に対して寛容ではないのではないか」。
「日本は人材の流動性に対して免疫がない。長年にわたり人材をつなぎとめることが企業の競争力を高めるという考えがある。そういう考えは中長期的に見れば、変化に弱い組織を作りあげてしまうのではないか。起業する人に対して批判的な人がいることや、一度退職して戻ってくる人に対して閉鎖的な文化がある点に問題があると思う」(佐々木氏)。
“ベンチャー大国”アメリカに対して、日本は起業比率が著しく低い。中小企業庁による調査によると、2001年から2015年にかけて、日本の開業率は一貫して5%前後で推移。対して、アメリカは9.3%(2011年のデータが最新)となっている。
また、「起業意識の国際比較」において、「起業することが望ましい」と考える人が日本は約30%しかいないのに対し、アメリカでは60%以上と意識水準に大きな差がある。これには、日本とアメリカの失敗に対する考え方の違いが影響していると思われる。
もちろん、起業や独立だけが人生ではなく、小原氏らのような大きなチャレンジをしない人のほうがむしろ多いかもしれない。だが、会社員として働いていくにしても、仕事はつねにチャレンジと失敗と隣り合わせだ。失敗を執拗に恐れたり避けたりするのではなく、失敗に対する“正しい”心構えをしておくことが、最大のリスクヘッジになるのではないだろうか。
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