鎌倉市はマナー条例でどう変貌するのか 「住んでよかった、訪れてよかった」観光都市
3月下旬から4月にかけて、鎌倉のマナーの向上に関する条例の話題がテレビをはじめとする各メディアでかけめぐった。条例自体は聞いたことがある人が多い中、内容が曲解して伝わるケースも見受けられる。鎌倉市の観光課は「食べ歩き自体が禁止だと一部で誤った報道や誤解して伝わっていることが多い」と話す。
食べ歩きなどのマナーの向上を推進するために、「公共の場所におけるマナーの向上に関する条例案」が3月22日同市議会で賛成多数で可決。4月1日に施行された。条例には罰則規定はない。狭い場所や混雑した場所で歩行しながら飲食を行うなど、他者の衣類を汚す恐れのある行為についてマナーの向上を推進し、市や市民、事業者のほか観光客にもマナー向上の努力を求めるとしている。条例の中でこの食べ歩きに関する行為の部分がメディアで大きく取り上げられ、注目された。
マナー条例制定の背景
条例に盛り込まれているのは食べ歩きだけではない。線路の周辺など危険な場所での撮影、山道などの狭い場所や混雑した場所で走りながら歩行者を追い越すことなどへのマナー向上も盛り込まれている。条例制定の背景には、急な勾配や一方通行がかろうじてできる狭い山道が多いハイキングコースで、山道を走るトレイルランナーに危険を感じるハイカーからの陳情で市が協議をしていた経緯がある。
同市観光課は「2014年にトレイルラン規制の条例化についての陳情が採択され、トレイルラン、ハイキングの各愛好団体と協議した。しかし、エリアが広大で監視が難しく、実効性が担保できないとして、マナーを呼びかける条例を制定するに至った」と説明する。
ハイキングコースのふもとに住む60代女性は「山道を歩いているときにランナーが走ってくると立ち止まってよけることが多かった。休日はグループも多いが、最近はマナーも守られていて問題は感じない」と話す。
市ではハイキングコースの山道のところどころに「ランナーの方へ 幼児・高齢者の安全のため、歩行していただくよう、ご協力をお願いします」という注意喚起の標識を条例施行後に設置した。鎌倉市市民生活部観光課観光課長の廣川氏によると、「現在のものは暫定的なものであり、今後は正式な看板を設置して、より周知する予定」という。
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