痛み、胸やけ「胃の不調」の放置が危険な理由 年々増加傾向にある胃食道逆流症とは何か
まずはこの胃食道逆流症の「症状」を確認しましょう。
・呑酸(どんさん、酸っぱい液体が上がってくる感じ)
・食道の粘膜がただれる
・胸が詰まるような感じがする
・満腹時に痛みを感じることが多い
このように、食後などに胸やけやゲップ、 みぞおち辺りに痛みが生じるのが特徴です。食道の炎症がひどくなると、食事もつらく、寝ているときにも痛みで目が覚めるようなことが起こります。
次に、これらの症状を引き起こす「原因」についてみてみましょう。
・食道のぜん動運動に問題がある
・食道裂孔ヘルニア※の場合は、逆流防止の働きがさらに弱まる
(※胃と食道のつなぎ目が上にせり上がり、飛び出してしまう病気)
胃の口がきちんと閉じずに「胃酸が食道に逆流する」ことで、食道の粘膜を傷つけ炎症を起こします。逆流した胃酸を胃へ戻す食道のぜん動運動が悪いことも関係します。
そして、胃食道逆流症は「食道の炎症が見られず自覚症状のみのタイプ」(非びらん性胃食道逆流症)、「炎症があって自覚症状もあるタイプ」「炎症はあっても無症状」の3つのタイプに分けられます。まとめると、以下のようになります。
まずはこれらの基礎知識を押さえてください。
健康診断を受けた人の約1割に、胃食道逆流症が見られたとの報告があり、脂っこい食事など食の欧米化とともに年々増加傾向にあると推定されています。発症リスクが高いのは60歳以上の女性です。
「食後にすぐに横になる、ウエストのきつい衣類を着る、おなか周りに脂肪がたまっている場合などに胃食道逆流症は起こりやすくなります。胸やけなどの症状が繰り返し起こる場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう」と立花先生。
胃酸が逆流してしまう理由とは?
胃食道逆流症の治療では、胃酸を逆流させないために、胃酸を抑制・中和するなどの薬によって症状を改善します。まずは治療を受けることが肝心。食道の炎症を放置してしまうと、食道の細胞が胃の細胞に変化する「バレット食道」へ移行することがあるからです。