痛み、胸やけ「胃の不調」の放置が危険な理由 年々増加傾向にある胃食道逆流症とは何か
プロトンポンプ阻害薬(PPI)、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)が代表的な薬です。
スクラルファートやグリチルリチン酸ジカリウムなどの成分があり、制酸成分と合わせて市販薬にも含まれます。
食道のぜん動運動を促す消化管運動機能改善薬や、制酸成分や粘膜の保護成分を組み合わせた漢方薬もあります。
バレット食道には有効な治療法はありません。一方、胃の入り口が食道の方へ飛び出す「食道裂孔ヘルニア」になることもあります。食道裂孔ヘルニアの症状によっては、手術が必要になります。
「食道裂孔ヘルニアは、ご高齢の患者さんに多く見られます。また、バレット食道は食道がんの発症リスクが高いといえます。胃食道逆流症の症状が軽い段階で、食生活を見直し、適切な治療を受けることが大切になります」(立花先生)
生活習慣の見直しで食道を守る
食道を守るには、胃酸の逆流を防ぐことが大切。食べてすぐ寝る、高脂肪食、みかんなど柑橘類の摂り過ぎ、過度な飲酒や喫煙などの習慣の見直しが欠かせません。ウエストを締め付けないようにする、寝るときには上半身をやや高くするなど、ちょっとした工夫も必要です。
また、定期的な健診を受けて健康状態を把握し、胸やけなどの症状が続くようならば医療機関の受診を心がけましょう。
「熱い飲み物や料理、刺激物、過度な飲酒は、食道がんのリスクを高めます。生活習慣の見直しは、食道がん予防にもつながるので実践しましょう」と立花先生はアドバイスします。
・前屈姿勢をとらないようにする
・横になるときは左側を下にする
・就寝時は胸から頭にかけてを高くする
・喫煙、過度の飲酒はNG
・食べ過ぎない&就寝前の食事は避ける
胃酸を分泌しやすい食事や胃酸が逆流しやすい体の姿勢や状態を防ぐことがポイントになります。
・まずは薬を服用する
・食道裂孔ヘルニアを伴っている場合は手術を行う
胃酸の分泌を抑制する薬などで逆流を防いで食道の炎症を改善します。食道裂孔ヘルニアなど臓器異常が見られるときには手術が必要なこともあります。
取材・文/安達純子 イラスト/入江めぐみ
立花慎吾(たちばな・しんご)先生/戸田中央総合病院外科消化管部長。東京医科大学病院消化器外科・小児外科派遣准教授。東京医科大学卒。米国留学、愛知県がんセンター中央病院などを経て2018年より現職。
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