日清製粉、パンの本場で見せた粉へのこだわり

海外の和食ブームも追い風、増産にアクセル

このため、国内の大手製パン・製菓メーカーは、例えば、ホテルで使う高級パンは灰分の少ない小麦粉を、スーパーで販売するパンは灰分を含んだ小麦粉を、という具合に用途に応じて使い分けている。日清製粉グループはこうしたニーズに応えるため、1つの小麦から灰分含有量の違う小麦粉を複数生産してきた。

これに対して、日清製粉グループが買収する前のロジャーズ・フーズは大量生産を優先し、灰分含有量による作り分けを後回しにしていた。日清製粉グループはロジャーズ・フーズを買収後、カナダでも日本型の小麦粉の加工適性に合わせた提案営業を行った。それがカナダの大手製パン・製菓メーカーの眼には新鮮に映ったようだ。

海外部門を統括する小池政志取締役は、ロジャーズ・フーズでの勤務経験を持つ(撮影:尾形文繁)

その後、カナダ西海岸の比較的小さな製粉工場だったロジャーズ・フーズの工場は、順調に稼働率が上昇。増産投資が必要となったため、2004年にはバンクーバー近郊にチリワック工場を新設するに至った。カナダでの製粉能力は8割も増強したのである。

和食ブームを受け、天ぷら粉まで伸びる

新設したカナダのチリワック工場は、初めから日本型の高度なミル制御システムを導入しており、顧客ニーズに応じてさまざまな品質の小麦を作り分けることができた。とりわけ、灰分の少ない本格的な中華麺用小麦粉の生産ができる工場として、北米のラーメン好きたちに知られる。ラーメンはかんすいを使うので麺は黄色くなるが、おいしいラーメン用の小麦は灰分の少ない、白い小麦粉が好まれるのだ。

こうしてチリワック工場は西海岸はもちろん、東海岸にも中華麺用やギョーザ皮用の小麦粉を出荷し、和食ブームを陰で支える存在になっている。2017年10月にはアメリカで初めてラーメンエキスポが開催された。全米のラーメン関連企業が出展するなかで、現地の製粉会社としては、ロジャーズ・フーズを始めとする日清製粉グループが唯一参加し、存在をアピールした。

チリワック工場では小麦粉だけでなく、小麦粉に糖類などの調味料、膨張剤などを加えたミックス粉も作っている。ミックス粉には、ホットケーキミックス、菓子パンミックス、スポンジケーキミックスなど、さまざまな種類がある。チリワック工場は小麦粉にでんぷん、卵、ベーキングパウダーなどを加えた、本格的な天ぷら粉まで生産。これに和食ブームも追い風となり、北米で天ぷら粉の消費量が増加しているという。

製パン・製菓メーカーにとっても、好みのプレミックス(調整粉)があれば、自社で小麦粉と糖類、調味料、膨張剤などを配合する工程を省くことができ、使い勝手がいい。多種類の小麦粉販売に加えて、プレミックスの存在も、日清製粉グループの強みになっている。

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