うつには「野菜と果物をとるといい」は本当か 幸福感や満足度を向上させる食品とは
ラムジーら精神栄養学者は、必要に応じて抗うつ剤などの治療薬を処方し、対話療法やそのほかの従来型カウンセリングを行う。しかし、新鮮で栄養豊富な食べ物は、複数の治療法の組み合わせの効果を高める可能性があると彼らは主張する。
アメリカ人は日常的に、減量や血糖値のコントロール、動脈を詰まらせるコレステロールの低下のために、食生活を変える。しかし、人間の体の中で最も複雑でエネルギーを消費する器官、つまり脳が必要とする食べ物について注意を払うことは滅多にないと、ラムジーは言う。
新鮮なフルーツと野菜の摂取量を増やすと
ラムジーの患者の1人は、加工食品や揚げ物、油っぽい食べ物を減らすなど、食生活の指導に従ったことで、気分が向上し、長きにわたったアルコール依存の克服にもつながったという。
「私のうつを軽減し、気分を改善させる治療の一部だ」とその患者は言う。
食生活が精神機能に与える影響についての研究は比較的新しい。また、私たちの食生活と一般的な健康は多くの要因が関わっているため、食べ物の研究は実施することも解釈することも困難になりがちだ。
しかし、2016年に医学誌『American Journal of Public Health』に掲載された、オーストラリア人1万2000人以上が参加した調査では、フルーツと野菜の摂取量を増やした人々は、食生活を変えなかった人々よりも幸福度と生活への満足度が高かった。
ニュージーランドとアメリカの若年成人422人が参加した別の研究では、新鮮なフルーツと野菜を多く食べた人は、精神的な健康と幸福度のレベルがより高かった。興味深いことに、缶詰のフルーツと野菜を食べた人は同じ効果が得られなかった。
「生のフルーツと野菜には、熱に弱いビタミンBとビタミンCに代表される多くの栄養が含まれるためと考えられる」と、論文の執筆者でニュージーランド・オタゴ大学の上級講師、タムリン・コナーは説明する。