「口下手の人」が実はプレゼンで有利な深いワケ スピーチのプロが語る「言葉の選び方」の極意

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私は、新聞にコラムを連載していますが、例えば新聞社にこのコラムの掲載を続けさせてほしいとお願いに行ったとします。このとき、中心にある動詞は「続ける」です。ここさえしっかり押さえておけば、「続ければ、こんなことが書ける」「続ければ、こんな読者が獲得できる」「続ければ、過去のファンをつなぐこともできる」と語ることができます。

ここに、この新聞を「愛している」だとか、自分は「書く」ことが好きだとか、コラムで「稼ぎたい」だとか、複数の動詞を混ぜてしまうと、結局何のために話をしているのかが、相手に伝わらなくなってしまうのです。

私は就活中の学生さんに、いつも「織田信長なら『こわす』、豊臣秀吉なら『ひろげる』、徳川家康なら『治める』。坂本龍馬なら『むすぶ』と動詞で語ることができる。仏は『ほどく』という動詞で説明できる。君の動詞はなんだ。どういう動きをする人間なのか」と問いかけます。自分の動詞が見つかれば、自己PRに「核」ができるからです。

円滑なコミュニケーションを望むなら、人に会ったり、話したりする目的を動詞で語れるようにするといいでしょう。得意先に会いにいく目的が、関係を維持するための親睦というケースがあります。そのときには「和む」という動詞をポケットに入れて会いにいけば目的がブレることはありません。

今日の会議の目的が、自分の提案を決裁してもらうことだとしたら、動詞は「通す」です。「決めてもらう」だと、せっかくの動詞も人ごとになってしまいます。あくまで自分の主体的な目的を動詞化しましょう。

伝わるのは一語。動詞を明確にして、ブレない言葉を紡ぐ。口下手なあなただからこそ、意識してほしいポイントです。

聞き手を巻き込み一体感をつくる言葉

友人とケンカをしてしまった。なんとか仲直りしたい……。そんなとき、あなたは友人にどう語りかけますか。

「ごめんなさい。本当に、ごめん。反省しています。私が悪かった」と、「ごめんなさい」を繰り返す。これでは仲直りすることはできません。

相手の心に謝罪の気持ちが入っていかないからです。とはいえ、くどくど説明すれば「弁解している」と思われて、余計に嫌われる可能性があります。

ケンカはしているけれど、相手にも仲直りしたい気持ちはある。振り上げた拳をなかなか下ろせずに困っている。お互いがそんな状況のときには、こんな言い方があります。

「私たち、どうしてこうなっちゃったんだろう」

「私たち、これからどうすればいいんだろう」

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