野村HD、10年ぶり赤字で「店舗2割減」の荒療治 永井CEO「伝統的ビジネスモデルは崩壊した」

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――具体的には、どのように事業を再構築していきますか。

債券ビジネスでは、約10年前に買収したリーマン・ブラザーズとインスティネットのプラットフォームを使ってきた。それらののれんを、2019年3月期に一括処理した(リーマン約140億円、インスティネット約670億円)。セカンダリーマーケットで流動性を供給する債券ビジネスは縮小するが、撤退はしない。AI(人工知能)活用などデジタル化のさらなる推進を含めて、プラットフォームを再構築していく。

ながい・こうじ/1959年生まれ。1981年野村証券入社。野村證券社長などを経て2012年8月、野村ホールディングス代表執行役グループCEOに就任。現在、野村證券取締役会長も兼ねる(撮影:今井康一)

――2008年に買収したリーマン・ブラザーズ(欧州・中東・アジアの部門継承)は海外での債券ビジネスが強みの1つでした。買収を総括すると、失敗だったということになりませんか。

難しい問題だ。10年前は異例の金融政策がこんなに続くとは思ってもいなかった。総括しろと言われれば、結果的に「やらないほうがよかった」と言う人もいるかもしれない。ただ間違いなく効果があったのは、顧客層だ。当社は当時、海外の顧客層が弱かった。それが現在、金融系、非金融事業会社ともに段違いの顧客層になっている。日本の野村證券が逆立ちしてもおつきあいしてもらえなかったような非金融会社や金融機関の顧客層を欧州などで獲得できた。

トップ層人材はいくらでも入れ替えが利く

――金融人材の流動性は海外でとくに激しい。人材流出によって顧客層も失っていく危険はありませんか。

ほとんどない。出て行く人材もあれば、入ってくる人材もある。この業界では、「バルジブラケット」と呼ばれる欧米主要投資銀行(10社程度)があって、その中で人材はぐるぐると回遊している。日本の転勤みたいな感覚だ。リーマンショック以前、われわれはそのようなトップリーグには入れなかったから、来る人材もそれなりの水準でしかなかった。リーマン買収後は、バルジブラケットに入れたので、トップ層の人材はいくらでも入れ替えが利く。

――逆に言うと、そういう人材には市場価格で高い賃金を払わなければならず、高コスト体質が課題になりますね。

確かに高くなる。市場価格の分布を4つに分けた場合、あまりに下位水準の賃金だとみんな辞めてしまう。かといって、われわれはトップクラスのバルジブラケットでもないので、市場価格の上位のような賃金は絶対に払わない。つねに市場の平均値を見て、中間程度に収めるようにコントロールしようとしている。

――セカンダリーの債券ビジネス縮小後、ホールセールの収益はどうやって増やしますか。

買収した旧リーマンの事業では、そうした債券ビジネスが大きな部分を占め、ここにある程度の人、モノ、キャピタル(資本)を張り付けていた。今後は縮小して余ったリソース(経営資源)を、投資銀行部門のプライマリー(発行市場)系、アドバイザリー関連のビジネスにシフトさせる。これらの投資銀行部門のプラットフォームは、日本を中心にネットワークが構築され、すでに日米欧アジアで適正規模に近いが、今後は大物狙いをせず、ミドルサイズの顧客や特定業種に絞った形で展開していく。

一方で同じホールセールの中で、この投資銀行部門とグローバルマーケッツ部門(国内外の機関投資家向けなどのビジネス)では、顧客層が重なっている。今までは投資銀行部門がM&A助言やファイナンスの注文を取りに行くなどバラバラに活動していたが、2018年4月にCFS(クライアント・ファイナンシャル&ソリューション)という組織を作り、一気通貫でソリューションを提供できる体制を整えた。

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