「大学で遊んだだけの人」が会社で行き詰まる訳

池上彰×佐藤優「今の大学生が学ぶべきこと」

これからの時代、社会から求められる人材になりたいと思ったら学生のうちに何をしたらいいのか、(左)佐藤優氏と(右)池上彰氏に話を聞いた(写真提供:中央公論新社)
2020年度、教育現場には「新学習指導要領」が導入され、新たな「大学入学共通テスト」の実施が始まる。AI時代を生き抜ける人材を育成するため――ともいわれるが、本当にそんな能力をつけてくれるのか。はなはだ心もとない。
自ら教壇に立ち、教育問題を取材し続ける池上彰氏と、「主体的な学び」を体現する佐藤優氏が、日本の教育の問題点と新たな教育改革の意味を解き明かし、「学生時代には、こんなことをしておけ」と具体的に提言する。
前回記事:池上彰×佐藤優「2020年教育改革で起きること」

企業にOJTの余裕がなくなった

池上彰(以下、池上):今回の教育改革では、大学の問題は強く意識されていますよね。教育再生実行会議の「第四次提言」では、大学教育のあり方について、次のように指摘しています。

第三次提言で述べたように、知識・情報・技術が社会のあらゆる領域で活動の基盤となる知識基盤社会にあっては、大学が担うべき役割は一層大きくなっています。大学は、これまでの延長線上ではなく、将来を見据えて必要となる人材を輩出していくよう、教育機能を強化する大胆な改革に踏み出さなければなりません。
これからの社会において重要なものは、大学入学時の学力ではなく、卒業時までに鍛え抜かれた力であり、大学が生涯を通じての学びの拠点となることが必要です。大学は、高等学校までの教育を基に更に付加価値を高めるため、それぞれの強みをいかし、学びの質的転換を図るとともに、厳格な卒業認定を徹底させることが必要です。

まったく、おっしゃるとおりだと言わざるをえないのですが。

佐藤優(以下、佐藤):ある意味、大学に対する期待が非常に高いわけですよね。その背景には、官庁でも企業でも、仕事に必要な技能を身に付けさせるOJTができにくくなっているという事情もあるように思うのです。

池上:オン・ザ・ジョブ・トレーニングを施す、つまり現場の実務で仕事を覚えさせることが難しくなっている、と。

佐藤:先日、ある地方ブロック紙のモスクワ支局長をやっていた記者に会ったときに、「新聞社の外信部への就職を希望する学生がいたら、何をやれとアドバイスしたらいいか?」と聞いてみたのです。すると、返ってきた答えは、「語学をやるべき」でした。

なぜかというと、自分が駆け出しの頃には、語学留学の制度があった。しかし、今それをできる新聞社は読売と朝日と日経新聞など大手しかない。それ以外の会社は推して知るべしで、留学させる体力自体がなくなった。

だから、逆に大学時代にスペイン語でも中国語でもロシア語でもいいから、そこに特化して一定のレベルに達していれば、採用において有利になるし、外信部へも行きやすい、と。そういう話なんですよ。

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