「マルチタスク」での仕事が極めて非効率な理由 アスリート並みに集中するための4つの方法

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ルーチンからゾーンに入るのは鍛錬が必要ですが、環境を整えることは、訓練不要で、だれでもできます。そのポイントを時間と空間(視覚&聴覚)という観点から整理しました。

・時間…おすすめは早朝

脳は寝ている間に記憶を整理します。このため起きたばかりの脳はスッキリした状態です。また、早朝は活動している人も少なく、注意を削がれる要因が少ないので、仕事は間違いなくはかどります。

・空間(視覚)…注意を引くものから逃れる

漫画『スラムダンク』の作者・井上雄彦氏が、ネームを書くときの場所はお気に入りのカフェ。その理由は「家や事務所だと誘惑が多すぎるため」。あえて情報を遮断できる空間に身を置くのです。なお、要注意はスマホ。あえて持っていかない、もしくはカバン奥深くにしまいましょう。

・空間(聴覚)…静寂よりも適度な雑音

静かな空間がゾーンに入りやすいと思うかもしれませんが、静かだと小さな音でも気になり、実は逆効果です。むしろ、カフェなど適度にざわざわした空間が、音が背景となり気になりにくいもの。もしくは、おなじみの1曲もしくは数曲をリピートして聞くと、リピートするなかで音楽が背景となり効果的です。

ポイント3:仕事を分解・具体化する

なかなか取り組み始められない、集中できない仕事は、だいたいが以下のようなものです。

・何から手をつけていいかよくわからないくらい壮大な仕事
・とにかく手間がかかる面倒な仕事
・締め切りが曖昧な仕事

これらに共通するのは「今、何をするか」が明確になっていないこと。いくらやる気があっても、やることが明確でないと行動できません。まずは仕事を細かく分解して、具体的にしていきましょう。

例えば、本のタイトルを決めないといけないとします。期限はまだ先ですが、早いにこしたことはありません。タイトルの考え方や決め方については自由にやっていいと言われています。さて、このような仕事でゾーンに入ることができるでしょうか?

まず、タイトルを決めるということは、さまざまな案を出して、その中から絞り込むということです。この時点で仕事が2つに分解されました。また、案出しでは方向性を3つ考え、それぞれの方向性で10案ずつアイデアを出すなど、プロセスを分けることができるはずです。

また、それぞれにかける時間を割り振っておけば、少なくとも「今日、会社を出るまでに自分がすべきこと」は明確になるでしょう。

マラソンに例えれば、42.195kmを完走することが最終ゴールであったとしても、まずは目の前の5kmに意識を向けることです。

仕事の速い人は仕事を具体的に明確にすることをすぐにやっています。

これによって、自分がいま何をすべきなのかが明確なので、迷いなく仕事に取り掛かり、ゾーンに入りやすくなります。結果的に人より早く仕事を終わらせているだけなのです。

次ページポイント4:仕事の難易度を調整する
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