DMM亀山会長「1社に長く勤めるのも能力だ」 グループ創業者が語る「逆張りのIT組織論」

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――昨年10月には、DMMに長く勤めている村中悠介取締役(39)がCOO(最高執行責任者)に、一方でグノシーから来た松本勇気執行役員(29)がCTO(最高技術責任者)に就任し、若手に経営を任せる環境が整いつつあります。亀山さんの中に懸念や危機感が残っているとすれば、どういう点ですか?

1つ挙げるとすれば、DMMとして社会貢献的な、社会的価値のあることをする場合がたびたびあるが、そういう取り組みに対する認識が甘い社員がいるということに、危機感を覚える。こういう活動って、ある程度会社が潰れない、資金的に大丈夫だという前提があるからやろうとなるものだと思っている。

2017年に稼働した、東京都港区六本木の新オフィス。社員間のコミュニケーションを促進するため、デスクが波形の配置に(撮影:尾形文繁)

だけど最近の若い人の中には、自分たちの会社とか事業がまだままならないのに、そういう社会貢献的なところに手を出そうとする人がいる。いやいやお前たち、自分の会社潰れそうなんだぞ! まだ早いだろう!と(笑)。

こういうことは身近なところから順々にやっていくべき。自分が食えるようになり、家族や社員を食わせられるようになり、その先にやっと社会貢献があるはず。そこが全体的に、ふわっとしてしまうのは、自分としてはとてもイヤだなと。

身銭を切らずにいいことをするのは違う

――順番が違うだろうと。

実際、「お金にならなくてもいいから、社会のためにこれをやりたい」みたいなアイデアはたくさん上がってくる。ほかにも、地震とか、洪水とかである地域が大きな被害を受けた、みたいなニュースがあると、「うちの会社は寄付しないんですか」という声を上げる社員がいる。それで「わかった、じゃあみんなが出してくれた額だけ寄付しよう」と言うと、シーンとしちゃうんだよね。

身銭を切らないでいいことをするのはいちばん気持ちいいけど、そういうのはちょっと違うだろうと。ビジネスでちゃんとやることをやって、そこで出たゆとりで社会貢献をするべき。それが自分の会社に責任を持つことだと思う。だからDMMではなるべく、社会貢献的なことは持ち株会社のDGホールディングスが主体になってやっていこうと思っている。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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