センター試験の「後釜」に不安が募りすぎる理由

「新テスト」に記述式を導入する意味は何だ?

この改革を推し進める先に、理想の大学入試が本当に実現するのだろうか。その先に待っているのはむしろSF小説で描かれるような「ディストピア」ではないか。そんな不安が頭をよぎる。

さらに、受験生は自己採点を基に最終的な出願先を決めることになる。しかし、数学の記述問題の自己採点不一致率は、問題によって6.6%から14.7%だった。国語の記述式問題における自己採点不一致は約3割にも上った。自分の本当の点数がよくわからないまま志望校をどこか1つ選ばなければならないとすれば、ほとんどギャンブルだ。

従来どおりの入試の私大が人気になる可能性

新制度による入試本番まであと1年9カ月を切った。プレテストはもう行われない。もっとも合理的な解決策は、記述式問題導入の延期であるように思えるが、「大人の事情」で、いまさら後には引けないのだろうか。

ちなみに、今回の大学入試改革では、英語の民間試験の導入も大きな目玉であったが、2018年9月には、東大が、入学者選抜に「民間英語試験」の成績提出を実質的に必須としないと発表するなど、この点でも混乱が続いている。

だとすると、受験生が自分を守る方法は限られる。「新テスト」を回避して、結局従来通りの入試を続ける私立大学に人気が集まるという皮肉な現象が起こりかねない。その選択を誰が非難できようか。

一方で、文部科学省は、私立大学に対して入学定員の厳格化を求めている。そのため、特に東京都23区内の私立大学が難関化し、予備校の模試で「A判定」をもらっていても不合格が続出するという事態が発生している。そこに「新テスト回避組」がなだれ込むとなれば、さらに難関化する可能性がある。

初めての「新テスト」を受験する子供たちはすでに高校2年生。先行きがまったく見えない中でそろそろ志望校を選定し、受験勉強を始めなければならない。「大人の事情」に翻弄され、非常に難しい選択を迫られることになる。

受験生やその保護者および高校の教員たちの不安は増すばかり。この改革は、誰のためにどこに向かっているのだろうか。

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