髙田明、サッカーJ1復帰への「一戦一生」 V・ファーレン長崎「ファンづくり」の極意

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過去に2回昇格プレーオフに進むなど、もともと力のあったチームで、心配ごとがなくなって、選手も安心したのでしょう。2017年、夏以降は13戦負けなしの快進撃で、クラブ創設以来初となるJ1昇格を果たしました。

残念ながら、2018年はJ2に降格となりましたが、全力で戦ったので悔いはありません。今は、手倉森誠新監督の下「優勝して1年でJ1に戻る」ことを目標に日々奮闘中です。

「捨てる」「残す」「加える」

V・ファーレン長崎の経営再建に際して、私がまず考えたのは、どうやって収入を確保し、支出を抑えるか。支出については抑えるというよりも、いかに無駄をなくすかを考えました。

引き継いだときの経営状態は、「傷みすぎ」というほどの状況で、3年間で10億円は必要と予想しましたが、初年度だけでジャパネットは10億円以上をかけることになりました。それでも、私は3つのことを言い続けています。

「捨てる」「残す」「加える」です。

V・ファーレン長崎は、2005年創設のクラブチームです。

いろいろと負の遺産というべきものがあったのは事実で、捨てるべきものは捨てる。これまでの歴史で培ってきたよいものは残す。それだけでは変化がないから、新しいものを加える、というシンプルな改革を始めたのです。

また、どんな企業でも危機的な状況で経営者がなすべき第一のことは「いかに働きやすい環境を整えるか」だと思います。クラブチームであれば、いかに選手たちがプレーしやすい環境をつくるか。それがパフォーマンスを最大化する土壌になるわけですから。

食の部分ではタニタさんと組んでいて、選手たちが利用する諫早のクラブハウスには、栄養面に配慮したメニューが並ぶ「タニタ食堂」が入っています。

それからエアウィーヴさんと提携して睡眠のケアもしていて、選手たちは普段エアウィーヴのマットレスを使用しています。

また、事務所のスタッフも休みなく働いているような状況でしたから、ジャパネットからも人材を派遣し、親会社のジャパネットと同じ勤怠管理制度を導入したり、ノー残業デーやリフレッシュ休暇などの取り組みも、協力を得ながら徐々に実施していきました。心身共に健康に、しかし同時に生産性の高い仕事をしていこうという風土をつくるように努めています。

サッカーは思った以上にお金がかかる事業です。年間のホーム戦が20試合しかない中で、どうやって収支の採算を取るか。とにかく、まずはV・ファーレン長崎というチームを知ってもらい、関心を持ってもらって、スタジアムに足を運んでいただくために、私自身がメディアに出たり、アウェーの試合にも積極的に足を運んだりしています。

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