髙田明、サッカーJ1復帰への「一戦一生」 V・ファーレン長崎「ファンづくり」の極意

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一方、公共交通機関を使っていらっしゃる方に対しては、駅から徒歩30分の道のりを楽しく歩いていただけるよう、行政と協力して「V・ファーレンロード」として整備しました。すると、地元の商店街の皆さんがホーム、アウェーのサポーターを問わず、お茶やお酒、地元の特産品などの振る舞いをしてくださって、そのおもてなしが全国のサポーターの間で話題になり、駅から歩く方が増えました。

また、JR九州さんや地元の鉄道・バス会社さんにお願いして、試合開催日の混み合う時間帯に、電車やバスの増発、増結をしていただきました。

そのほかにも、試合のハーフタイムに花火をあげたり、J2としては(当時)珍しくスタジアムにLED看板を設け、臨場感を出したり。そういった工夫を、コツコツと積み重ねてきたのです。

スタジアムに足を運んでくださる方々に対して、迎え入れる側としてのホスピタリティーや相手へのリスペクトの気持ちが重要だと考えています。

また、これはほかのチームの方に驚かれて意外だったのですが、ホームスタジアムでも相手チームのゴールシーンをスクリーンに映すなど、細かいことでもそういう姿勢や気持ちを大切にしていきたいと思います。

長崎市に新スタジアム構想も

ジャパネットホールディングスのプロジェクトで、私は直接には関わっていないのですが、長崎市の三菱重工業工場跡地に、V・ファーレン長崎の新スタジアムを中核として、ホテルやマンションなども含めた複合施設をつくる計画があります。

新スタジアムには500億円規模の投資をする予定で、2023年をメドに完成を目指すとしています。スタジアムは、2万3000人収容で一部の屋根を透明化、太陽光を通すことで、芝を養生しやすくし、ホテルから直接観戦できるようにもする構想です。

ジャパネットの旭人社長は、「自分たちで市場をつくり出すつもりだ、ジャパネットとして料理や建物の造りまですべてにこだわる。本当に魅力的な施設ができれば、全国から人が集まる」と意気込んでいます。

今の私のいちばんの役割は、V・ファーレン長崎を再生することで、その先にある夢は誰かにバトンタッチすべきだと思っていますから、サッカーの仕事はそんなに長くはやらないかもしれません。

「1年先、2年先にはどうなりたい」というより、一日一日をどのように改善・改革していくかを意識しながら、日々精進していこうと考えています。

それを実行できたからこそ、一昨年はJ1昇格を決められたのだと思いますし、人間はつねに自己を更新していくことが大事でしょう。“今”を一生懸命に頑張っていたら、目標にはおのずと近づいていけるはずです。

髙田 明 ジャパネットたかた創業者、A and Live代表取締役、V・ファーレン長崎代表取締役社長

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たかた あきら / AKIRA Takata

1948年長崎県平戸市生まれ。大阪経済大学卒業。阪村機械製作所に入社、入社2年目からヨーロッパに駐在し、機械営業の通訳に従事。74年平戸へUターンし、父親が経営していた「カメラのたかた」に入社。観光写真撮影販売から事業拡大し、86年に分離独立して株式会社たかたを設立、代表取締役に就任。90年からラジオショッピング、94年にはテレビショッピングに参入し、通信販売事業を本格的に展開。99年ジャパネットたかたに社名変更。2011、12年はテレビの販売不振で2期連続減収減益。2013年は、自らの進退を懸けて過去最高益更新の目標を掲げる。テレビに代わる商材の発掘、東京オフィス開設等々が奏功し、目標を達成。2015年1月、ジャパネットたかた社長の座を長男に譲り退任。同時にA and Liveを設立。2016年1月にはMCとしての番組出演も「卒業」。2017年サッカーJ2クラブチーム、V・ファーレン長崎代表取締役社長に就任。クラブの立て直し、再建に注力。2017年11月にJ1昇格を達成したが、2018年はJ2に降格。今季J1復帰を目指して奮闘中。

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