52歳弟の「孤独死」が兄に作り上げさせた仕組み その先に起こりうる悲劇を防ぐために

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夏場などは、数日で腐敗し蛆が湧くこともあり、なるだけ早く見つけたいという思いから、第一発見者になることを意識して配達するようにはなったが、孤独死を早期に発見することの難しさを実感したという。

特殊清掃人も孤独死予備軍

新聞配達は、毎日戸別訪問することから、孤独死発見のライフラインといえる面があるが、現在では新聞を取らない世帯が多くなっている。なかでも現役世代が社会的孤立に陥ると、地域社会との接点が希薄な場合は、民間の宅配サービスなどを利用していないと、直接の安否確認の機会はないだろう。

特殊清掃業者、トータルライフサービスの高橋大輔さんはこう語る。

「現役世代で孤独死する人の家では、市販の薬や整形外科で処方された鎮痛消炎剤、それとマジックハンド(つかみ棒)が見つかる割合が高いんです。抗がん剤や抗うつ剤などの治療薬が大量に出てくることも少なくありませんが、それは治療を受ける姿勢があり、まだいいほうです。

孤独死した人は、何らかの病気を患っているケースが多いですが、現役世代で独身の方は、積極的に治療を受ける人は少ない印象です。マジックハンドは、モノが散乱した部屋のため、身体が痛くて動けないから買ったんだと思うんです。布団の周りを、リモコンやペットボトルで固めている人もいます。

いくつもの現場をこなしていると、社会から孤立して、その結果、孤独死した人と自分の違いって、実はあまりないように思えてきます。僕自身、独身で友達も多いわけじゃない。というか、友達はいません。つまり特掃業者である僕自身ですら、同業者のお世話にならないとも限らない。30代で働き盛りの僕にとっても、孤独死は決して他人事じゃないと思っています」

特殊清掃人の高橋さんは、真剣な表情でそう締めくくった。

現役世代であっても社会との接点を失い、力尽きて、誰にも助けを求められずに、息絶えてしまう。そこには、社会生活などから離れた途端、それまでの人間関係などが失われ、誰にも頼ることができない現役世代の姿が浮き彫りとなる。

それは、筆者自身も取材を重ねる中で自分の問題として痛切に感じるようになった。人生での挫折やつまずきは、誰の身にも起こりうることだからだ。

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