52歳弟の「孤独死」が兄に作り上げさせた仕組み その先に起こりうる悲劇を防ぐために

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

紺野氏は、現役世代に向けて、無料で運用できる安否確認システムを開発した。

弟の死がきっかけでシステムを開発することに

「弟の死がきっかけで、孤独死をネットで調べるようになったんです。システム関係の知識があったので、他人事じゃないというのを実感した。ちょうど仕事をやめた直後で、これからの人生どうしようと思っていたときに、残りの人生を世の中のためになることをやらなきゃいけないという思いが強くなったんです」

『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

紺野氏が開発したシステムでは、LINEに友達追加して登録するだけで、2日に1度、設定された時間に安否確認のメッセージが届く。OKをタップすれば、安否確認が済み、応答がなければ24時間後、さらにその3時間後に再度安否確認のメッセージが届く。それでも応答がない場合は、NPOの職員が直接本人の携帯に電話するという仕組みだ。

本人の安否確認が取れなければ、最初に登録した家族や友人などの近親者にNPOのスタッフが直接電話する。このサービスはスマホを持っていれば、誰でも無料で使用できる。生死に関わることなので、営利目的にはしたくないという思いがあり、現在は無料で運用しているのだという。

ただし、企業や個人から寄付は、受け付けているという。

孤独死から見えてくるさまざまな社会の問題は、解決するには困難なものばかりだが、逆にそこから個人でできること、少しでも物事を変える方法にたどり着くこともできる。紺野氏の活動はまさにそうだ。一人ひとりが問題意識を持つことで、社会的孤立をめぐる状況は改善していくだろう。

菅野 久美子 ノンフィクション作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かんの・くみこ / Kumiko Kanno

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社で編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国』(双葉社)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(KADOKAWA)『母を捨てる』(プレジデント社)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事