日経平均株価の「異常な値動き」に注意が必要だ 外需株も内需株も買えるような状況ではない
こうして先週日本の外需株の買いが衰えたため、相対的に内需系業種の株価が優位となった。しかし国内経済の脆弱さを踏まえると、内需株を買い上がっていけるような環境ではない。
特に先週は、日本の内需の先行きに警鐘を鳴らすような経済統計が目に付いた。8日(月)には、3月の消費者態度指数が発表された。これは消費者の心理を示すデータだが、6か月連続の前月比減少を記録し、昨年1月を起点とした低下傾向に歯止めがかからない。それどころか、3月分は前月比1.0ポイント低下したが、これは現在の悪化局面では一度もなかった大幅なものだ。
消費者心理が悪化している要因としては、人手不足でパートやアルバイトといった非正規雇用者の時給はそれなりに上昇しているものの、企業経営が慎重で、正規雇用者の賃金上昇率が鈍いことが挙げられる。このため消費者の節約志向が強い。このまま消費増税に突入すれば、結果は明らかだろう。
また同日に発表された、3月の景気ウオッチャー指数も、内容は悪かった。足元の景気判断を示す現状判断DIは、2018年に入ってから悪化傾向が概ね続いており、今年3月の前月比低下幅(2.7ポイント)は、現在の悪化局面では、2018年1月(3.0ポイント)に迫り、2018年12月(2.7ポイント)と並ぶ、大きなものだ。
加えて、これも同日の公表だが、日銀のさくらレポート(地域経済報告)では、東北、北陸、九州・沖縄の3地域において、景況判断が下方修正された。3つ以上の地域の下方修正は、2013年10月の8地域以来の多さだ。今回北海道が上昇修正されたが、これは地震の影響が一巡したことが主因とされている。
現物株の物色は行き詰っている
このような内需の実態では、とても内需株も買えない。外需も内需も買えないとなって、先週からは、日本の株価全般の頭は重くなった。TOPIX(東証1部株価指数)は、5日連続の下落となって、むしろじわりと下値を探り始めたようにも思われる。
ただ、こうした物色の行き詰まりという、深刻な事態に対して、TOPIXの下押し幅やスピードは、極めて小さく、むしろ底固さを感じる。これは、現物株の投資家が、買いづらさを感じながらも売り逃げを急ぐほどではないと考えていて、結果として売買高の低迷を引き起こしていることがあるだろう。つまり、売りも買いも衰えている状態だ。
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