「株価は大きく下落する」と読むこれだけの理由 実態は悪化しているのに市場は見て見ぬふり

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
秋には消費増税も控えているが「中国も景気対策を打っているし、日銀も金融緩和してくれるから日本の株価は大丈夫」、といった楽観論で大丈夫だろうか(写真:Ryuji / PIXTA)

当コラムでは、通常アメリカなどの情勢を中心に書くことが多いので、今回は日本の経済実態などを詳しく述べてみたい。

すでに日本経済は景気後退に陥った?

筆者にとってかなり意外感があった経済指標は、3月7日に公表された「1月の景気動向指数」だった。この動向指数のなかで、景気一致指数(CI、コンポジットインデックス)が、昨年10月をピークに3カ月連続で低下した。通常、3カ月連続の低下は、景気が後退していることを示しており、内閣府は景気の基調判断を「下方への局面変化を示している」に下方修正した。

内閣府の基調判断の修正は、ほぼ単純に景気一致指数の数値から機械的に行なわれるものだ。だが、「下方への局面変化」とは、「事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す」という意味合いとなっている。つまり「すでに日本経済はリセッション(景気後退)入りした可能性が高い」ということだ。

やや固い話になるが、できるだけわかりやすく説明するのでお付き合いいただきたい。景気一致指数の1月の低下の中身をみてみよう。景気一致指数は、鉱工業生産指数など、9つの経済データを合成して算出されている(現時点で未発表のデータもあるが、それも推計値を用いて計算、後日そのデータが発表後修正)。

1月の景気一致指数は、前月から2.7ポイント幅低下したが、その寄与度(9つのデータのうち、どのデータがどれだけ全体の指数を押し下げたか)をみると、最大の押し下げは投資財出荷指数(除く輸送機械)でマイナス0.77ポイント、次が鉱工業生産指数でマイナス0.65ポイントであった。上位2つの指標の寄与度合計がマイナス1.42ポイントで、全体の下げ幅である2.7ポイントの半分強に達する。

上記のうち「投資財」とは、「資本財」(企業が生産活動に用いる機械類などで、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどや、耐用年数が長い金型なども含む)と「建設財」(構造建築物を建てる際に使われる、エレベータ、サッシや橋梁そのものなど)を指す。つまり、設備投資や建設投資の動きに影響を受ける財だ。

次ページやはり中国経済の悪化に影響を受けたが…
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事