株式市場にひたひたと忍び寄る「下落の影」 上昇はしたが、根本は何も変わっていない
2月3日は節分だった。読者の方の頭をよぎるのは、「節分天井、彼岸底」という言葉だろう。本当に株価にそうしたアノマリー(理屈で説明できないが、しばしば起こること)があるのかどうかは、おそらく他の多くの方が語ると思うので、筆者は述べない(こういうのをへそ曲がりというのだろうか)。
それはそれとして、先週は主要国の株価の戻りが持続したものの、個別には節分に向けての「鬼」も出て、特に日本株は日経平均株価など株価指数の頭が重いという感触も強まった。
「鬼」と称したのは、サンバイオ、任天堂、ZOZOなどの個別銘柄の株価の崩れで、個人投資家を中心に心理を冷やしたものと懸念される。
一方、先週株価を支えたのは、概してアメリカ発の要因だったと言える。主な要因は2つある。1つは米中通商交渉の進展期待で、もう1つは連銀の「市場に優しい」姿勢であった。ただ、両者とも今後も手放しで市場が好感し続けるとは考えがたい。
米中通商交渉の裏舞台はどうなっているのか?
1月30日(水)~1月31日(木)は、中国の劉鶴副首相がワシントンを訪れ、米中の閣僚級協議が行なわれた。事前には、ファーウェイの孟晩舟副会長の、カナダからアメリカへの身柄引き渡しの動向によっては、閣僚級協議が流れるのではないか、という観測もあった。だが、支障なく閣僚級会議は終了した。
劉副首相はドナルド・トランプ大統領とも会談し、習近平主席からの書簡を手渡した。加えて、1月31日(木)付のウォール・ストリート・ジャーナルは「中国側が2月中の米中首脳会談の開催を提案した」と報じ、今後の通商交渉の進展への期待が、株価の支持材料となったと解釈できる。
しかし、実際の通商交渉の「進展」とは、どのようなものになるのだろうか。当コラムでも何度か解説しているが、トランプ政権は決して一枚岩ではなく、対中穏健派と強硬派が同時に存在している。昨年12月初の米中首脳会談の設定以降の流れでは、対中穏健派が主導権をとっているように見える。そうした流れを特に後押ししたのは、同12月にアメリカ株価が大きく下落したことだろう。
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